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言葉だけじゃなくて、この包容でも分かった。
いつもみたいな家族の包容じゃない。
愛しい人を抱き締めるものだ。
長かった。
とても……長かった。
諦めなくて、良かった。
逃げちゃったこともあるけど、届くまで何度でも向き合って良かった。
「もう泣かせない。今度こそ君を守ろう。もう君を離さないからな。」
「うん。あたしも、もう逃げないよ。」
ありがとう、ミズキちゃん。
ミズキちゃんのおかげで届いたよ。
今はもう近くにいない親友に心の中でお礼を言う。
「千景くんに今度お礼を言わねばな。」
いつまでも道端で抱き合っている訳にはいかないので、そっとお互い離れる。
「うん。でもきっとめんどくさそうな顔されるかもね。」
「はは。不思議な奴だ。あやつは本当に不良なのか?」
「不良ではないと思う。クラスで浮いてるけど…ただ自分を貫いてるだけだと思う。」
「そんな感じはするな。」
「うん。あたしの…かけがえのない友達だよ。」
多分、お礼とか求めてないと思うけど。
やっぱり何か返したい。
だから。
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