届くまで何度でも

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「今度はあたし達が助けてあげよう?」 「そうだな。千景くんが困った時、無理矢理にでも助けてやろう。」 無理矢理にでもって…。 それは逆に迷惑なんじゃ……。 あ、でもそれもいいかも。 きっとミズキちゃんは何も言わないだろうから。 自分で解決してしまう、そんな人だから。 「ふふふ。いい仕返しになるかもしれん。嫌がるあやつを無理矢理助けるのは。」 「ほ、ほどほどにね?」 どれだけ嫌がらせをしたいの、桃花さん。 こうなった桃花さんは止められないからなぁ。 ごめんね、ミズキちゃん。 「さて、帰ろうか鈴羽。」 「うん。」 手を差し出される。 昔からしてくれたように。 でもいつものようにではなくて。 「あ、でもお母さんに言ってくれないか?」 「何を?」 「今日は宇佐美家に行くから遅くなると。」 それって。 「失っていた分も含めて一緒にいたいんだ。」 「ぁ……。」 「たくさん、愛でたい。」 もぅ。 平気でそんなこと言うんだから。 結構熱い人だけど……恋愛の方もそうなのかな。 「あ…。お手柔らかに……ね?」 握ってるからよく分かる。 桃花さんも緊張していることが。 それが嬉しくて。 これから何があってもこの手を離したくないなって思った。
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