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それから桃花さんは少しずつ近づいてきて。
あたしはなんとか涙を止めようと、目元を袖で拭ったら。
「鈴羽。」
呼ばれて、腕を捕まれた。
力強いのに、少しも痛くない。
「好きだ。」
「は…ぃ…。」
「大好きだ。」
「あた…しも…大…好きっ!」
「今まで剣道しかやってこなった自分だが…鈴羽、恋人になってくれるか?」
「勿論!あたしは桃花さんがいいの!」
「抱き締めてもいいだろうか?」
抱き締めてほしい。
でも言葉で言うのは恥ずかしいから頷いた。
するとふわりと包まれる。
優しくて、遠慮がちの包容。
いつも悲しいときは抱き付いた。
少しでも意識して欲しくて抱き付いたこともある。
その時だって抱き返してくれたけど、やっぱり家族の包容だった。
でも。
「やっと……届いた……。」
もう一度言う。
ずっとずっと願っていたばかりで、届かなくて。
諦めかけてたこともあったけど、ようやく届いたあたしの恋。
「あぁ、待たせてすまない。」
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