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五月の放課後。大学近く、クルーヌ河沿いの喫茶店。
カラコロンと扉に付けられた鐘が柔らかく鳴り、店内に新しい客が入ってきたことを知らせた。
ハツキはその音を気にすることなく持参の本を読んでいた。
だが。
ふと目の端に光を感じた。
それはあの光。
三月に王都に来てから、夜に『夢』で見る光る金の粒。
思わず本から顔が上がり、視線はそちらへ向かった。
目に入ってきたのは、頭頂から肩、そして腰のあたりまで流れ落ちる見事な金髪。
その持ち主へ言葉が零れ出す。
「綺麗な金髪だね。まるで輝いているみたいだ」
今、新しい世界への扉が開く。
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