2/2

47人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ
 五月(花月)の放課後。大学近く、クルーヌ河沿いの喫茶店。  カラコロンと扉に付けられた鐘が柔らかく鳴り、店内に新しい客が入ってきたことを知らせた。  ハツキはその音を気にすることなく持参の本を読んでいた。  だが。  ふと目の端に光を感じた。  それはあの光。  三月(風月)に王都に来てから、夜に『夢』で見る光る金の粒。  思わず本から顔が上がり、視線はそちらへ向かった。  目に入ってきたのは、頭頂から肩、そして腰のあたりまで流れ落ちる見事な金髪。  その持ち主へ言葉が零れ出す。 「綺麗な金髪だね。まるで輝いているみたいだ」  今、新しい世界への扉が開く。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加