2.街の煌めき遠く溢れ

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「伯父様! 今回は兄様だけじゃなくて、私もいるのよ!」  サホが冗談めかした抗議を口にすると、キミノリは照れたように苦笑してサホを抱擁した。  カザハヤの本家には男子しかいない。そのため妹の子であるチグサの娘達のことも彼は可愛がってくれているのだった。  サホも伯父に抱擁をして返す。 「サホも遠いところをよく来たな! どうだ、初めての王都は」 「とても明るいし、人も多くてびっくりしたわ」 「ベーヌとは大違いだろう? アリタダ君も長旅お疲れ様だったな」 「いやぁ、お義父(とう)さんのお取り計らいで、快適な汽車の旅を堪能させていただきました。お義兄(にい)さん、お世話になります」  頭を下げたアリタダの肩を、サホを離したキミノリが軽く叩く。  その様子を目にして小さく嘆息すると、サネシゲは伯父に勢いよく抱きつかれたために乱れた着衣を整えるハツキに身体を向けてきた。  自分の正面に来た祖父にハツキも姿勢を正す。  そして表情に微笑を上せて祖父に挨拶をした。 「お祖父様。無事にヴィレドコーリに参ることが出来ました。大学へ通う間、よろしくお願いいたします」 「うむ」自分に一礼するハツキにサネシゲが頷いて優しく手を乗せる。 「ここでの生活はおまえの自由だ。勉学だけでなく、様々なことを経験して好きに楽しみなさい。このことだけは決して忘れてくれるな」 「……ありがとうございます」  玄関先での挨拶が済むと、嬉々としたキミノリに案内されて、早速ハツキはこの屋敷での自室になる部屋に向かうことになった。
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