2.街の煌めき遠く溢れ

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 ハツキもカザハヤの王都屋敷の料理が好きだった。ヴィレドコーリでの楽しみの一つに、毎日この料理が食べられることが入っている。  食後に、全員席に着いたまま明日の予定の確認があった。  ハツキ、サネシゲ、アリタダは王立学院に出向き、今回ハツキを王立学院大学に推薦してくれた王立学院大学文学部の教授グィノー・コンラドに挨拶に行くことになっている。  ハツキはその後、王立学院の敷地までは一緒に来て、ハツキ達がグィノー教授と面談している間は来春サホが進学を希望している医学部を見学に行くというサホ、サネアキと一緒に大学の制服を仕立てに行く予定だった。  確認が済むと解散になった。  祖父、伯父、父親の三人は書斎に移って酒を楽しむということで、連れだって食堂から出ていった。  サネアキは、ハツキの一番上の姉でもある愛妻のテルハに電話をするために電話室へ向かう。彼女も当初、ハツキを送るために一緒に王都へ来たがっていたが、結局は二人目の子供を身ごもって身重であることからベーヌに残ることになったのだ。そんなテルハに今日のことを報告するのだろう。  ハツキはこの後もサネユキと一緒にいて話をしたかったのだが、彼はこちらの顔を覗き込みながら微笑して言った。
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