4.昼のうつつ 夜の『夢』

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4.昼のうつつ 夜の『夢』

 ルクウンジュ王立大学は、今から八〇〇年程前にルクウンジュ王家によって設立された、国内で最も歴史および権威のある大学だ。  時代を下って大学付属の高等部、中等部、幼年部及び幼稚舎と徐々に年齢の範囲を広げ、全てを合わせて王立学院と称されるようになった。このように、現在では一貫校としての特色を持つ学校だ。  だがそれでも、王立学院全体の中では大学部の人間が学生数、教員数共に大部分を占めており、今でもやはり大学部が学院の一番の要である。  ヴィレドコーリに到着した翌日、祖父、父と共にハツキは王立大学文学部研究棟を訪れた。  大学の正門までは、医学部を見学するサホと彼女の付き添いのサネアキも一緒に来ていた。だが構内は徒歩で行くと言って彼らはそこで車から降り、正門からマロニエ並木の構内大通りを真っ直ぐに東へ進む大講堂の方へ歩いて行った。  ハツキ達はそのまま車で、正門から二つ目の十字路を南に曲がり、蜂蜜のような色合いの石で造られた建物の間の道を進んだ。  新しい建物の中にはレンガ造りのものもあるが、王立学院に古くからある建物はこの石で造られており、時代を感じさせる風合いが美しい。  文学部研究棟の前に車を停め、建物の中に入る。
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