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ハツキ達三人はグィノーにソファを勧められ、部屋の窓を背にしたグィノーの机の前にある応接椅子に順に腰を下ろした。
奥の長椅子にサネシゲとアリタダ、手前の二つ並んだ一人掛のソファにハツキが座る。ハツキの横、扉側の椅子にグィノーが腰を掛けた。
グィノーが隣のハツキに顔を向けてくる。ハツキを見るその表情はやはり柔らかい。
そうやって自分に目を向けてくる教授に、ハツキは小さく首を傾げた。
応接卓の向こうで、父親と祖父が困ったような表情をしていたが、特に何も言ってくる気配はない。ハツキは黙ってグィノーを見つめた。
ハツキの反応にグィノーが苦笑をしながら口を開く。
「チグサ君。まずは合格おめでとう」
──それは貴方が僕を推薦してくださったからではないですか。
内心そう思う。けれどもハツキは「ありがとうございます」と表面上は素直にグィノーへ頭を下げた。
そんなハツキの心の内が解ったのだろうか。グィノーは更に言葉を継いだ。
「君がこの王立学院大学を受験したのは、私が君を推薦したからだ。しかし、たとえ王立学院の教授の推薦であっても、入学考査の判定にそのことは加味されない。入学考査に合格したのは、間違いなく君の実力だ。そのことに誇りを持って、この学院での学生生活を送って欲しい」
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