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「私が言うと自慢だと思われるばかりですが、私の孫の中でもこの子とサネユキは本当に良く出来る子達でしてね」
サネシゲの言葉にグィノーは笑った。
「事実、優秀なお孫様です。サネユキ様の噂も聞き及んでおります。彼と並ぶカザハヤ公の至宝の一方をこうして当学院に迎え入れられることが、我々にとってなんと喜ばしいことか。私をはじめとする王立学院大学部の教員一同、彼のような優秀な学生をご紹介いただたき、非常に感謝しております。彼の将来が実に楽しみです」
グィノーが祖父と会話を始める。
自分から話題が外れたのでハツキは自分の前に供されている珈琲にクリームを入れて混ぜ、両手でカップを持ち上げるとそっと目を伏せた。
グィノーが嘘を言っている訳ではないことがちゃんと理解出来るようになったからこそ、今度はそのようにサネユキと同等に手放しで褒められることが面映ゆく、また将来を嘱望されているらしいことに申し訳なさを感じる。
ここでは自由だと身内の皆は言う。
そして実際自分も自由に過ごさせてもらおうとは考えている。
けれどそれがいつまで続けていられるのだろうか。
大学生として過ごすことになる四年。
──それは僕にはひどく長い。
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