4.昼のうつつ 夜の『夢』

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 同じ屋敷の中にいるということで、ハツキの『夢』にサネユキが訪れてくれることも密かに期待していた。しかし、ハツキが眠りに入る頃、外出をしていた彼が昨夜の『夢』に現れることはなかった。  現実世界での地理が『夢』にどれだけの影響を与えるのかは理解が及ばない。  しかしハツキに先んじて王都に来たサネユキから、ベーヌで見る『夢』と王都で見る『夢』は、世界は同じであるようだが自分達の現れる場所は違うとは聞いていた。  話に聞いていた通り、昨晩自分が『夢』の中に現れた場所は、ベーヌにいる時とは全く別の場所だった。  歩いている者の数も、立ち止まったままの者の数もベーヌよりもはるかに多く、また見た目で判断される人種は中央ラティルトの比率が高い。  それを見てハツキは、こんな『夢』の中までもヴィレドコーリ仕様になるのだと、密かに感心してしまったのだった。  しかし、それよりも気になる出来事があった。  昨晩の『夢』では、ベーヌでは見かけたことのない現象が発生していた。  ある一箇所、地面から金色の光の粒子が漏れ出している場所があったのだ。  ハツキは、自分やサネユキがその『夢』の中で自由に動き回ることが出来ることも、また人々が進み消えていく方向へどれだけ行ったところで、自分達が『夢』の大地から消えてしまうことがないことも、二人で既に試しているので知っていた。  その経験から、『夢』の中での行動に臆するところは全くなかった。
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