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5.光る金の滝
真新しい、前身頃が胸ボタンの下から曲線を描いて、丈の長い後身頃に繋がる。テイルコートの上着という特徴的な制服に袖を通すのは新鮮な気分だった。
ルクウンジュ国の中でもテイルコートを制服に制定しているのは王立学院だけだ。
成績による制服の色の違いには興味を抱かなかったハツキとはいえ、新しい制服を身に纏うことには感慨を抑えきれられなかった。
「よく似合っている」
そう言って微笑みながら、サネユキは少し曲がっていたらしい臙脂のリボンタイを直してくれた。
玄関でサネユキに見送られ、ハツキは入学式に向かった。
生まれて初めての、一人での行動に気分は少し高揚する。
大学の入学式は、王立学院大学大講堂で行われる。
新品の制服に身を包んだ、全学部の新入生が一堂に会する光景は壮観であると感じる人間もいるだろう。
だが式の早々にしてすでに、屋敷の門を出た時の高揚はどこへやら、ハツキは大講堂の一席で早くこの式典が終了してくれないものかと願っていた。
今までベーヌにおいて、ハツキは学校関係の式典に一切出席したことがない。
しかし、こういった区切りとなる式典の意義は大いに認めている。
ここがヴィレドコーリであることもあって今回は出席をしたのだが、これだけ多くの人間と長時間同じ場所にいるということが苦痛で仕方なくなってきたのだ。
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