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気晴らしにならないだろうかとこっそり講堂内を観察する。自分より前の席にいる学生の中に、後ろから見ても明らかに居眠りをしているような者を何人か認めた。
──いっそ。
自分もそうやって意識を飛ばすことが出来たならどれだけ楽だろうかと溜息をつく。
式が終わり、新入生はシラバスを受け取りに事務局へ向かうよう指示を受けた。
席から立ち上がりなるべく早く大講堂から出ようとしたが、いかんせん真面目に時間に余裕を持って来たこと、こんな広い大講堂に慣れていなかったために出入り口から遠い席に着いてしまっていたことから、出口に向かう人の波に飲まれてしまってなかなか外に出ることが出来なかった。
ようよう講堂内から外に出て事務局に向かう学生の群れから離れる。
ハツキは大講堂正面のアーチの柱に手をつき、そこでやっと息をつくことが出来た。
周囲の人の関心がこちらにないのは嬉しいが、やはりベーヌとは比較にならない人の多さには圧倒されてしまう。
しかし実際は本人の思い込みとは異なり、ラティルト系が多い中、非常に整った端整なヤウデン系の顔立ちをしていることや、入学時から臙脂のタイの制服を身につけていることなどから、ハツキは周囲の目を多いに引いていた。
ただ本人がそれに全く気づいていなかっただけである。
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