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「だから、……だから、坂井さえよかったら、今度デートしない?」
「はっ……!?」
反射的に変な言葉が出る。この男なに言ってんだ。
すこしだけ冷静になっていた胸のドキドキが、三倍速くなる。わたしがおばあちゃんとかだったら、たぶん心臓発作で死んでるぞ。おばあちゃんじゃなくてよかったな。
そんな余計なことを考えていると、永谷もやっぱり照れくさかったのか、視線を泳がせながらまたしゃべくり始めた。
「あ、いや、なんか違うか、ごめん!
でも、学校以外でも、会えたらいいなと思って」
慌てて話す永谷。なんだか、少しだけ、かわいく思えてくる。
「そうだね。土日とか、暇?」
わたしの言葉に、永谷は少し面食らったような顔をして、それでも即座に口を開いた。
「暇。どっちも暇。あ、いや、バイトあるけど、シフト変わってもらうからめっちゃ暇」
それ、暇じゃないよね。
永谷の言い回しとか、しぐさとか、それらのひとつひとつがおかしくて、なんだかかわいくて、つい吹き出してしまう。
つられて、永谷も笑う。
「無理しないでよ、いつでもいいから。またあとで連絡するから、連絡先教えて?」
「わかった、ごめん」
そうして、わたしと永谷の関係は、ただのクラスメイトとは少し違うものになった。
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