「すき」の手前のもう一歩手前

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当時言えなかったことを、もう一度、ちゃんと伝えよう。 この十年で気づいた彼の優しいとこ、かっこいいとこ、たまにかっこわるいとこ、かわいいとこ、頼りになるとこ、ぜんぶひっくるめて。 「永谷、好き」 さすがにちょっと効いたらしい。恥ずかしいと耳まで赤くなる癖は、昔から変わらない。 「……はいはい。俺も好きですよ、永谷さん」 わざとそう呼ぶ彼に、わたしもすこしどぎまぎしながら。 彼と一緒に歩んでいくさらに十年後、そしてその先が、とても楽しみに思えた。 おしまい
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