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「全然気にしないで。急にそんなこと言われても困ると思うし。また、今まで通り、普通に話してくれると嬉しい」
そう言って永谷は軽く微笑んだ。その笑顔は消えそうで、思わず胸がきゅっとなる。
「……なんでわたしなの?」
「なんでって……」
そんなわたしの質問に、永谷は少し考えて答えた。
「文化祭のとき、みんなにちゃんと気を配りながら、くるくる仕事してるの見てさ、そのうちつい坂井のことが気になるようになって。」
そんな永谷の言葉に、なんだか急に恥ずかしくなる。
「わたし、『お母さん』だよ?わたしなんか彼女にしても、みんなに笑われるだけだし……」
「なんでそう思うの」
わたしの言葉に、やたら永谷は早く返してきた。
「坂井はたしかに、面倒見よくて気配りできて、『お母さん』みたいだけど、でも俺にとってはお母さんじゃない。俺にとっては、坂井は好きなやつ、だから……」
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