「すき」の手前のもう一歩手前

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永谷の言葉に、思わず顔を赤くせずにはいられなかった。 ちらっとみた永谷の顔も、自分で言い出したくせになぜかみるみる顔が赤くなる。 「……ごめん、いまのは、キモかった」 「あ、いや……」 好き。ここに来て初めて言われたことを思い返し、思わず心臓が飛び出しそうになる。 なんで永谷はちゃんと、わたしのことを好きって言い切れるの。 わたしにはそれがわからない。わからないよ、永谷。 それでも、心臓だけは妙に早く鼓動を打っていた。 時計はもうすぐ四時半。永谷のバイトまで、あと三十分。 決着を保留にしたい気持ちは山々だ。でも、今ちゃんと話さないといけない気がする。 わたしは意を決して口を開いた。
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