「すき」の手前のもう一歩手前

9/14
前へ
/14ページ
次へ
「忘れないよ」 「……え?」 「忘れられるわけない。わたし、その、こ、告白とかされたの、初めてだし……」 その言葉の気恥ずかしさに、思わず少し言い渋ってしまう。 永谷は、じっと、わたしの言葉を待っていた。 「昨日ぜんぜん寝れなかったし。 ……くやしーけど」 そんなわたしの言葉に、永谷の表情は少しだけ緩む。 「それは、ごめん。でも、そこまで考えてくれて、嬉しい」 「当たり前じゃん。……でもさ」 正直、わたし、どうしていいかわからないんだ。 永谷は今までただのクラスメイトだった。 でも、彼は昨日、わたしとの距離を縮めてきた。 それは、迷惑なんかじゃなくて、どちらかといえば、嬉しい。 でも、結論を出すには、少し。 ほんの少し、早い気がする。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加