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これを機に下駄を普段使いしてみようかな、いやさすがにダサいだろ……等と思案していると、
「おぉ?あの暗そうなのに妙に頑張っちゃってる後ろ姿は……おぉ!柴木!柴木じゃん!」
と後方から一声。
思わず振り返りしまった――――と思った。
一番来てほしくない日常が来てしまった。
そう言いたくなるのを飲み込み、ショートヘアを揺らしながら赤を基調とした浴衣姿で駆け寄る女性に僕は返事をする。
「阿知和……さん、偶然だね」
阿知和 羽跳、僕と同じクラスで、いわゆる変人……だと思うのだが、クラスでは女子層を中心に割りと人気を経ている女子だ。
妙に並々ならぬ正義感を常に空回りさせており、テスト中にカンニングしていた男子を摘発しようとして自分もカンニング扱いになったり、クラスで飼っていたハムスター(マッキー)が逝去した際に追悼ライブを開く等、彼女の武勇伝を挙げればいとまがない。
一言でいうならヤバイ奴、しかもその追悼ライブではなぜか皆が文字通り号泣してしまうという謎の現象がおきたため、僕はもうクラスそのものがヤバイのではないかとにらみだした。
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