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……そういえば、あの時開いてた本は何だったっけ。最近ハマってたアニメ繋がりで、アンドロイドは電気羊の夢を見るを読もうとしてたけど、妹から何か勧められて、読もうとしていたはず……。 「君は自分が何をしているのか、分かっているのか!」 良く通る、イケメンオーラ満載の声が響き、はっと目の前の現実(いや、これは幻想……)に引き戻される。 見たことのない色彩溢れる中世ヨーロッパ風の建物の、これまた豪奢な噴水の前で、その噴水の水が反射した光を浴びた、純度100%の金髪を持つ3次元離れしたイケメンが、真っ直ぐ前を睨みつけていた。 凍るのではないかと思うぐらいに冷ややかな、透明感のある蒼い瞳を向けている先は、これまたゴージャスな美人だった。 白金色のゆるくウェーブのかかった髪を胸まで伸ばした、イケメンに負けないぐらい透明な蒼い瞳を持つレディは、真っ白な傷一つ見えない陶器のような肌の指をこちらに突きつける。 漫画だと確実にビシッと効果音が鳴っていた。というか、私がナレーションとして音をつけたいぐらいだ。 「そちらのクラウディア嬢が、ここで大切に育てている花を無断で摘んだからですわ!」 ふむふむ、なるほど。私は何をやらかしたんだ。
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