180人が本棚に入れています
本棚に追加
episode.1 ダメ男から逃げる方法とは
ひとまず、目の前の高貴なオーラがむんむん出ている美女から発せられた言葉から2つの事柄が判明した。
1つは、私が何かをやらかしたということ。花を無断で摘んだということは、恐らく該当するのは器物損壊罪か窃盗罪のいずれかだろう。それにしても花を摘んで盗人になるとか嫌すぎる。せめて5000兆円ぐらい盗みたい。
もう1つは、私の名前がクラウディアという名前ということだ。ちょっと女性がいっぱい出てくるゲームなら、1人はいそうな名前だ。
「申し訳ございません。こちらの花を摘んではダメとは知らず……」
必殺、とりあえず責められた場合は謝っておく、だ。社会人になると、残念ながら自分が悪くなくても頭を下げないと面倒なことになることが多い。そして不満そうな態度が外に出ていると、逆に相手を不機嫌にしてしまう。
今回私は、花を摘んだのかどうか分からない。そもそも手には花なんてなかった。でも手には花粉や草の汁がついていた。ということは、意識がないうちに私が勝手に花をちぎって、どこかに置いてきたのかもしれない。
「君が謝る必要なんてないよ」
イケメンが、美女に向けるものとは違う優しい笑みを浮かべて、私の手を握ってくる。
突然イケメンに手を握られて、喜ぶ女の子もいるんだろうが、人間28年も生きてくると何か企んでるのではないかと思えてくる。謝る必要はないから金よこせってことか?
いや、目の前のイケメンは先程、私を庇って美女を糾弾していた気がする。ということは、ここの花を摘むことは本当は悪いことではないこと、もしくは私は生えている花を摘んではおらず、責められる道理はないと言ってくれているのか。
最初のコメントを投稿しよう!