episode.1 ダメ男から逃げる方法とは

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「そもそも、この学園を所有しているのは、国王である俺の父上だ。ならば、この学園のものについてお前が口出しする権利はないはずだ。セルフィアス」 こ、こここ国王の息子!?ってことはこの人王子様なの!?何か王子様に最初に庇われるって、少女漫画とか乙女ゲーっぽいね!?もしくは課金石を突っ込めば成長する系とかね! あと、名前が全体的にカタカナでなっっがい。私の名前もそうなんだけど、6文字以上が基本なんだな。中世ヨーロッパ風だから仕方ないんだろうけど。苗字とか絡んできたら相当ややこしいことになるぞ。 「……お言葉ですが殿下。この学園は殿下のお父上が建てられたとはいえ、今では学園長を初めとして教師や、生徒の両親と様々な方々から支えられていますわ。もはや個人のものとは言いがたいものになってしまったものの財産を奪うというのは、やはり注意されるべきことなのではないかと」 ここは学校なのか。ということはまず、財産への侵害よりもまず、分かりやすい良くないことといえば、倫理的に良くないということだ。 この曖昧で不的確な倫理的に良くないものの基準は、自分の子供にそれをやっている姿を見られても問題ないか、ということとしている。 「お前はいつもいつも、そうやって理屈ばかり並べ立てるな。俺はお前のそういうところが、つまらなくて、可愛げがなくて嫌いだ」 「…………」 嫌い、と言われた瞬間に、セルフィアスと呼ばれた美女の顔が歪む。派手めの顔立ちの美人なので苛立っているようにも見えるが、これは恐らく悲しんでいるように思われる。
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