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その表情を見て、セルフィアスさんはこの王子のことが好きなのだろうと思った。残念ながらその気持ちはうまく届いていないようだが……。
「あのー……理屈って屁理屈よりは大事だと思うんですが……」
可愛い女の子が泣きそうな顔をしている!これは人類としては、助け舟を出す義務がある!
「ディア!そうだな……。確かにそうだ。屁理屈よりは理屈の方がいいよな!」
……ん?何なんだこの切り替えの速さ。ちょっと掌ペラペラすぎません?回りっぷりがドリルのように思えるのですが……。
目の前では、「ディアは優しいから、お前の嫌なところにも情けをかけてくれたんだぞ」とセルフィアスさんを睨んでいる。何なんだ?何で嫌われ系夢小説の夢主みたいな態度を取られてるんだ?そして私は嫌われるよう仕向けた悪辣ヒロインか?サイテーだな!!
あと、何気に愛称らしきもので呼ばれてたんだが、私と目の前の王子は愛称で呼び合うような仲だったのか……。その割に欠片も頭の中に名前すら出てこないのが悲しい。
それにしても、この異世界転生の何と不親切なことか!普通元々このキャラクターの人生の記憶ってもんがあってもおかしくないよね!?もしくは私を異世界転生させた神様とやらから、説明が入るよね!?
「とにかく、お花をむしってしまい申し訳ございませんでした。今後は気をつけます」
「……分かればいいんですよ。では、わたくしはこれで」
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