悪役令嬢のいる世界で主人公になりました。

episode.1 ダメ男から逃げる方法とは

ものすごく残念そうな顔をしながら、「……そうだな」と名残惜しげに私の背中に回した指を1本1本外して、5分ぐらいかけて解放した。

危なかった。これまだ授業とかなかったら、このままベッドインされてた流れだったろ。そして授業なんてサボっちまおうぜ！とか言う人でもなくて良かった。

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元のクラウディアは、カイル殿下の腕に自分を絡めて、わたくし将来正妻になりますのよアピールでもしながら歩いてたのか、教室に戻ろうとした時に自分の腰に手を当てた殿下に謎に腕をアピールされ、どうすればいいのか分からず立ち尽くしていたら、無理矢理両腕を絡まされて歩き出した。

やべえ、クリスマス時期にイルミネーションを見に行くカップルが増えてきた時期に、爆発しろやって思いながら見てたことしかないぞ。相手の歩調に合わせなきゃいけないし割と歩きにくいんだなこれ。

当たり前だが周りの生徒達は、こちらをものすごく訝しげな目で見ていた。こんな公衆の面前で見せつけんなよって思ってそうな迷惑げな顔をしている人や、まずいものを見てしまったと顔を背けた人、中には嫉妬に塗れた目でこちらを見ている人もいる。しかも女だけに限らず、男までだ。

おいおい、この世界にもホモはいるのかよ。まあこの人、顔立ちはとてつもなく綺麗だからなあ。この世界、絵柄がそもそも繊細だったのか、歩く人歩く人皆美男美女だが、その中でもこの王子は特に麗しい。男女問わず惚れられてもおかしくない。

ただ、顔だけで男を選んだ人の離婚率は半端ないぞ少年少女よ。前の私の周りでも、子供2人ぐらいこさえたのに、ガチャとパチンコと馬で借金を作ったあげくに嫁を連帯保証人にして逃亡した男だったり、妊娠中に風俗嬢に入れあげた挙句に病気を嫁にうつして、生まれた子供を障害持ちにしてしまった男だったり、嫁を自分の母親への親孝行にした男だったりがいたりしたが、全員漏れなくお顔は綺麗だったが、さすがに離婚されてたぞ。

「ああ、またしばし、ディアと離れ離れになってしまう……！ディアと得意分野が異なることが憎らしい……！」

「授業頑張りましょうねーカイル様ー」

そろそろこのノリもしんどくなってきたから、適当にあしらってしまった。