episode.1 ダメ男から逃げる方法とは

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もしかしたらカイル王子が愛したクラウディアとは何かが違うと気付かれる恐れもちょっとだけあると思ったが、全く気付かなかったみたいで、ハートをまき散らしながら自分のクラスの教室へと入っていった。 私のクラスはどこなんだろうと思ったが、幸いこの階には教室が2つしかなく、カイル王子の口ぶりから、カイル王子とは違う教室に入ればいいということなのですぐに分かった。 これで実は、行くべきところは別の階だったり、別の建物だったりしたら大笑いだけどな! 「……魔法科??」 教室の入り口には、魔法科と書かれた札がかけられている。中世ヨーロッパ風の世界観にも関わらず、文字はしっかり日本語なのが親切設計だ。 もしくは、実は全然別の言語で書かれてるけど私が日本語しか読めないから、日本語に自動変換されるようにしてくれてるのかもしれない。ここまでしてくれてるのなら、このキャラクターの設定だったり、別のキャラクターとの関係性を脳味噌にすり込んどいてくれても良かったんじゃないかな!? チャイムが鳴った後だからだろうか、担当教師らしき美人女性が教壇に立ち、クリスマスプレゼントでも入ってそうな麻袋を広げている。先生と僕とかそんなタイプのAVに出てそうな色気ムンムンの女性で、目に入った瞬間見惚れてしまったのだが、先生の方はこちらを一瞥してすごく嫌そうな顔をしていた。 「……将来は王妃になるから授業なんて受けなくていいって?いいご身分ね」 先生がポツリと呟いた言葉に反応するように、他の生徒達も聞こえるように悪口を囁き合っていた。 一部の男子は味方なのかいじめに加担したくないのか、悪口には参加していなかったが、どうやら王子ほど発言権はないみたいで、非常に気まずそうに目を逸らしている。
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