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余談だが「来年のことを言えば鬼が笑う」というのも完全に「やらせ」であり、いくら来年の話をしても美味しい食べ物をあげなければ鬼は笑ってはくれない。所属事務所が大きいので仕方ない。
やられ役へのギャランティーとして前払いしたきびだんごを、鬼らはとりあえずツノの内へと隠匿。その後、リアルな形相で絶妙な敗戦っぷりを見せたのは、マスコミ各社による既報の通りである。
そもそも鬼のツノが取りはずし可能であったことが桃太郎には驚きであったが、取りはずしたツノの中はすっかり空洞になっており、そこには飴もガムもアクセサリーも一緒くたに収納されているようだった。はずすときと嵌めるときに鳴る「カチッ」という音が、いまも桃太郎の耳に残っている。
だが一旦しまったものは、必ず取り出される日が来る。そこへの配慮が足りなかったことを、桃太郎は一生悔いることになった。
戦後まもなく鬼ヶ島の路上にて、はずしたツノをコーンに見立て、その上にきびだんごをカプリコのようにのせて楽しそうにパクついている複数の鬼の姿が、写真週刊誌に激写されたのである。
それが明らかに空撮であることから、写真を撮って週刊誌に売ったのはキジだと桃太郎は睨んでおり、犬や猿に比べて体が小さいという理由で、キジには小さめのきびだんごしかあげなかったことを、今さらながら後悔している。小さな奴ほど、不平等には敏感なものだ。
会見終了後、会場に集まった記者全員に美味しいきびだんごが配られたという。
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