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邂逅
ひょんなことから始まった、彼氏の草太との付き合いは続いて、1年半くらいが経とうとしている。
わたしの志望していた高校が女子校だったから、彼と同じところに通うことは叶わなかったけれど、方面……というか最寄り駅は同じだったから、下校時間が合うときなどはなるべく合わせていた。
「あ、いたいた。苺花〜」
「草太。おつかれさま……」
駅のホームで待ち合わせるときは、草太はひとりか、だれか友達と一緒だったりするけれど、今日は初めて見るひとと一緒にいた。
「えっと……?」
「ああ、苺花は初めましてだったか。こちら、雅也」
「どうも、雅也です」
「あ、えっと、苺花です……よ、よろしく?」
「うん、よろしく」
彼は、今年から草太と同じクラスになって、親しくなった間柄らしい。中学こそ一緒ではなかったものの、わりと近い地区に住んでいることがわかった。
もしかしたら、もう会っていたかもね、なんて冗談を言ってみた。
「こら、苺花さん。軽はずみな発言は禁止」
「あ、はい」
ーーー自分の友達とか、知り合いとか、会わせるくせに、嫉妬するんだ……
改めて、ひとと付き合うことの難しさを痛感しながら、わたしは彼らと一緒に電車に乗った。
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