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「次の駅で降りよう」 そう言った雅也くんに合わせ、目的の駅に到着後、わたしは電車を降りた。そして駅を出るとすぐにゲームセンターがあった。 「わたし、このへん来ないから、全然わからないなぁ」 「そうなの? このへんは、おれ的に知り合いに会う確率が低いから都合がいいんだ」 「なにそれ。意味深じゃん」 「ていうか、単純に学校以外で知り合いと鉢合わせしたくないんだよ」 「それはわかる」 ーーーあれ、でも……それなら、駅の待合室でわたしに声を掛けてきたのは、矛盾した行為なのでは……? いや、黙っておこう。 中に入ってすぐに目についたのは、クレーンゲームだった。見慣れない制服を着た高校生が何人かで固まり、大きなぬいぐるみを取ろうと格闘している。 「クレーンゲームと、メダルゲームだったら、どっちがすき?」 雅也くんにそう問われ、考える。メダルゲームも、すきな方ではあるけど、だれかと遊ぶってなったら、やっぱりもうひとつの方だろうか。 「じゃあ、クレーンゲームで!」 「よしきた。苺花が欲しいやつ、取ってあげるよ」 「ありがとう。それじゃあねぇ、あれが欲しい」 そう言って、わたしが指さしたのは、人気のあるキャラクターがモチーフになってる、ウォーターサーバー。 「え、あれってとれるの」 「とれるから景品なんじゃ……でも、むりっていうなら違うの選ぶよ」 「い、いや、とりあえず試させて!」 雅也くんは、クーポンを駆使して挑戦し始めた。 「ここがこうだから、こうして…」 挑戦して3回目くらいまでは、失敗していたので、やっぱりダメなんだろうと諦めていた。 「うん、あと3回くらいでいければいいかな」 「えっ、ほんとに?」 「任せて」 結果、あれから5回挑戦して取れた。 合計で8回やったけれど、クーポンを使ったこともあって、ほとんど投資せずに済んだらしい。クーポンのちから、おそるべしだ。 「はい、どうぞ」 「うわぁ、ありがとう。持って帰るの面倒だけど、大切に使うね」 「なんかいらん言葉聞こえてきたけど、聞かなかったことにしよう。どういたしまして」 「雅也くん、クレーンゲームの才能あるんだね。絶対取れないと思ってた」 「苺花って、物言いがけっこうひどいことあるよな。おれもダメだと思ったけど、取れちゃった」 「天才、天才」 「もっと褒めて」 そんなやりとりをしながら、フロアを移動した。
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