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関係
雅也くんとキスをしてしまった。
昨日は、そのあと自分がどういう言動をして、どうやって家まで帰ってきたのか、まったく記憶がなかった。
翌朝、学校に着くと、教室ではきゃあきゃあとクラスメイトたちが騒いでいた。
いつもは静かなのに、なにがあったんだろうか。疑問に思いながらも、平然を装って自分の席に着く。
「苺花ちゃん、おはよう。ちょっと聞いてよ」
席に着いてすぐ、わたしに気がついたクラスメイトが、あいさつをしにこちらへくる。用件は、あいさつだけではなさそうだった。
「お、おはよう……どうしたの?」
「玲那ちゃんが、男子とキスしたんだって!」
「へ、へぇ。すごいね?」
キスした、というワードを聞いて、昨日のできごとを思い出し、平静を装えなくなる。顔がかあっと熱くなった。
「苺花ちゃん、こういう話って聞き慣れてないタイプ?」
「ま、まぁ……」
「そうなの? それなのに、刺激が強いこと話しちゃってごめんね……」
うわ……
聞き耳を立てていた、話題の本人がわたしたちの元へやってきた。
「苺花ちゃん、おはよう。なんか、彼とは共通の趣味があって、盛り上がっちゃって、ついそんなことしちゃったって話を……苺花ちゃんにまでして、本当、ごめんね」
ーーーは? どういうつもりで喋ってんだ……
まさか、マウントされてる、とか?
「い、いや別に。男女が一緒にいれば、そういうこともあるかもしれないよね、きっと……。女子校だから、学校の外でしか出会いってないし、そういう相手がいるのって、う、羨ましいなぁ」
なるべく冷静に考えて発言したつもりだったけれど、失言だった気がする。
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