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5.平凡クラスと紅総長
5時間目の授業はどうにか間に合って、テストを受けることが出来た。
赤点を取ることはないけど平凡組のテスト基準は不良クラスと大きく違うので、ぼーっと授業を聞いているだけでは満点に近い点数は難しい。
中学の頃は競い合うようなほどの頭脳は持ち得てなくて、今は上位の順位を競えるくらいの結果が出ているので勉強が楽しかったりする。
平凡組は全学年合わせて30人くらいの少人数だからもあるけど、みんな仲が良い。
テストは同時に学年別に行われている。
「ちゅーた、こそっとテストのギリ前に教室に入って来たけど、昼休みはどこ行ってたの?」
ドキっとさせた同級生も、
「ちゅーた先輩が昂ちゃん先輩化したかと思った。でも外に出た感じじゃないですねぇ」
同じく机を並べる下級生、
「察してやれよー、今にも青い顔してお腹押さえてたろ?」
そして、心強くも口が悪い上級生。
すべて同じ教室内で、みんなそれぞれ僕のことを気にかけてくれて席までわらわらと集まってきた。
これは僕だけじゃなくて、平凡組はお互いの安全確認をするのが癖になっているからで。学校が平和になったとしても平凡組から外に出たら基本的に狼か野獣の住処なので一人欠けたりしたらそれこそ授業どころじゃなくなる。だから心配をかけられない。
「先輩が正解かな……」
本当のことを話すべきなのかもしれないけど、まさか黒チームの総長に捕まっていたなんて……それも告白されて……そんなことを言ったら不安材料として大騒ぎするだろうし、この事は同年で友人の平山昂輝…昂ちゃんに相談した方が良いと思って今は黙っていた。
ところが、その昂ちゃんがまだ戻っていない!
昂ちゃんは節約に燃えていて、もはや恒例である『スーパーの朝市特売に行く。テストまでには間に合わせる』ってLINEが入ってたんだけど……間に合わなかった見たいだ……。
因みに平凡組では不良組並みに昂ちゃんは強いことが証明されているので危険察知は解除されてる。
休み時間に入ったからか教室の扉付近がざわついて振り向くと、金色の髪に赤のメッシュが入ってる頭髪と、ドアの梁にぶつかりそうになって頭を傾けて入るくらい身長の高い人が教室に入って来た。
この教室には異様な雰囲気の……でも、皆は傍に寄ったり手を振ったり普通にその人……不良組である氷室零人を自然に迎え入れている。
彼が『紅のチーム総長』で、唯一、平凡組が安心して迎え入れることが出来る不良だ。
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