はちみつ色の黒総長

1.不良による不良の為の高校

今朝、僕はまだ寝ぼけている頭を起こしながら支度をして、最寄りのバス停で通学バスに乗って30分揺られながら学校に向かう。

僕は志望校の高校受験に失敗していて今、通ってる高校は二次試験に受かった私立高校だ。

本当は全く視野に入れていない学校だったけど高校浪人は親が認めてくれないので行くしかなかった。

途中、麓でバスを降りるとそれでも海を見渡せる丘の上にある高校なので素敵な環境ではあるけれど、実際はーー

バリバリバリ

全路面を使った車道にバイクの轟音を鳴らしながら色とりどりの髪色をした不良集団が横切って行く。

僕の通っている私立五上轟(ごじょうとどろき)高校は、不良による不良の為の不良が通う高校なのだ。

バイク通学を許されている不良たちは、難なく学校に辿り着いていた。

駐輪所があるにも関わらず校舎前には無造作にバイクが並んでいる。
風紀委員なんていない学校なので、いつもそのままの状態だから昇降口が塞がれていることなんて日常で……バイクには触れないように体をくねりながら通る。

校庭前には理事長と校長先生それに副校長、三長の若き日の姿である銅像が見える。

御三方は学生の頃、界隈で超有名な伝説の札付きの不良だったらしくーー

『不良魂を忘れないように不良養成所のような高校を創立したーー』

と、三長が陣を組んで座っている銅像と一緒に創立由来が記されている碑もある。

誰もが知る不良の通う学校なのだけど、一般生徒で不良とは関わり合いのないような生徒も少なからず在学している。

僕もその中の一人。