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それにしても、わたあめのようなクリーム色の髪色……以前は灰色のウルフカットで剃りも入っていたので色や髪型を変えたのは何の心境……まさかこの日のために?
それもナイフのような鋭い灰色の瞳は今は身を潜めて、焦点が微妙だけど穏やかでさえもある気がする。
壁ドン風に右手の拳が壁に、左足の膝が僕の股に入って動くのを最初から封じ込まれている。
「従いますって言えや!!」
ドンッ
「わわわっ!!」
もうひとり、傍にいる首に蛇の刺青(シール?)をつけた目玉ギロっとした強面の金髪不良に壁を蹴られた。
実は僕は今、壁を背に三人の不良に囲まれている。僕を拉致したのがイラつきながら壁を蹴った金髪不良で……それも僕を軽々と俵抱きに担いでいた馬鹿力。
絶対絶命だ……!
「焦らしてんじゃねぇよ、灰鬼がテメェ見たいなちんくしゃ野郎に対面で言ってんだ、時間とらせんなコラァ」
怒声を向けてくる金髪不良は、ガシッと僕の前髪を強く掴んだ。
ハラ…と数本髪の毛が抜けて地面に落ちる。
「……ひゃっ」
「ヤチ、触るな」
「ゲッシュタフォォあああーーーッ!??」
僕の髪をむしったヤチと呼ばれた金髪不良が、髪を鷲掴みされて何か叫びながらかなり後ろに飛んで行った。
「お前が灰鬼を惚れさせたんだから、責任持てよ?」
ずっと黙ってガン見していた、涼しい顔の青髪不良が衝撃な言葉を告げた。
えっと、今、僕が不良を……ほ、惚れ、させたと???
「もう一度聞く。俺と付き合って」
ビビったのはお腹に響いたデスボイス。
声だけで人間を殺せるんじゃないかな……。
「は……はい……」
不良のトップには、『最強』と『最凶』が存在していて、僕の目の前にいるのは“最凶”で高校では悪役側の不良だった。
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