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34. カルーアミルク
angelさんは僕の顔を覚えてなかったから昂ちゃんにも知られることも無かった。
僕ってつくづく何かに守られているのかな?
……でも、angelさんはあの灰鬼さんの双子の兄さん…不良のボスとお付き合いしてるんだよね? 隠してないのかな……それとも僕のように隠してるのかな。
友達の昂ちゃんまでも僕は言えなくて隠してて……段々と後ろめたあくなる。
ゆうき絞って、うんっと僕は昂ちゃんに言うべきなんやないないのか!?
そい、そいそううだ!!
「あ!ちゅーたぁ、わりぃ。そろそろチビ達に風呂を入れる時間になりそうだから、オレもう帰るね」
「え?」
「ちゅーたはまだ居なよ。追加したコーヒーミルクばっか飲んでカレー半分残ってる。勿体ないからさ」
ちょっと辛口なので水でも足りなくてコーヒーミルクを頼んでいた。
んっとぉ、そうじゃなーくてぇね!
「昂ちゃん、僕、話したいことあるんだっ」
昂ちゃんは席から立っていたけど、リュックを背中に担ぐとくるっと僕の方を向いた。
「んー、じゃ明日どう?絶対にちゅーたの話し聞くから!」
戦利品の入ったマイバックを腕に掛けると、肘を曲げて手を合わせながら申し訳ない様な顔をして謝られた。
「う……うん。わかったっ!じゃかね明日ねっ」
「じゃか?うん、明日ね!ごめんっ!じゃ、ごちそーさまでした!!」
もう一度手を合わせて、時計を見ながら昂ちゃんは喫茶店を慌ただしく出てった……ぼく置いて。
マスターの一言に「あの少年、主婦?」と言われていたよ。
「あの、君……大丈夫?」
angelしゃんが僕の方のテーブルにやって来て顔を覗いた。
「はい……?」
「なんか、言葉が舌っ足らずになってる気がして……あ、ちょっとマスター、もしかしてコレ…カルーアミルク?!」
コーヒーミルクのグラスを掲げてる。乾杯?
「ンなのちょっとだよ。二滴くらい」
「マスター…ヤバいですよ。彼らじゃないんだから……」
「えんる…さしゃん」
「こっちじゃなくて、水を飲まない?」
ポンポンッと僕は掌をテーブルの上に置いて、えんじぇるしゃんをジーっと見つめた。
えんじぇるしゃん、よーっく見たらかっこキレイ。平凡クラスじゃないの?
「あのね、ぼくね……聞きたいこと、あるの」
ガタっと椅子を引いた音が響いて、昂ちゃんが座っていた場所にえんじぇるしゃんが座った。
「うん、何かな? でもまずは、とにかく水を飲んだ方がいいよ」
ぼくに透明のコップを持たされるけど、今はいらないので返した。
ぼくは聞きたい……不良のボスのこと、学校ではどうですかって。
「おしえて、不良のボスの恋人?」
今度は、えんじぇるしゃんはジーっとぼくの顔を見てる。
お酒は20歳過ぎてからです。
良い子のみなさんはマネしないようにしましょう。
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