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35. カオルとシキ
「えっと、えっと……すみませんっ」
「ううん、本来高校生にお酒を出すなんて在り合えないよね。マスターが四ツ橋高の卒業生で後輩が来ると気前良くなっちゃうんだ……まったく懲りない人で。でもだいぶ楽になったようだね」
ここはマンション群が並んでる小さな公園で僕たちはベンチに座ってる。
記憶は失ってないけど喫茶店で途中から気持ちがほあほあ~ってして顔とか体に熱を帯びたようになって、なんだかいっぱい喋った気もするけど……僕、アルコールで脳の一部がふやふやになっちゃったのかな。
「家に入るより外の方が気持ちいいと思ってたけど、風が出てきたね、冷えたら困るしオレの家に来ない?」
「それは……くっしゅんっ」
「オレね、松田君と…紫鬼って言った方がわかるかな……同棲してるんだ」
「ふぇ、どうせい?」
angelさんは、はにかむように僕に微笑んだ。
えーと、どうせいって……同性…なのは解かってるから……同に棲の意味!?
「一緒に住んでる。松田君の弟さんの事で悩んでるようだから……オレも一般生徒の身でアウトローの人と付き合ってるので、良ければ話が聞けると思うけど」
「ええ同棲!?」
「……うん」
僕だって、同居と同棲の意味は知ってる……だ、大胆だな、angelさん!!
angelさんは通称で、澄田 薫君って名前だ。僕と同じ高校2年生で学校では一般生徒だけど、不良の多いクラスに配属されていて数少ない一般生徒なのは僕と同じ境遇ではあるけど、紫鬼さんの恋人だと言うことでそのクラス全体が護りに着いてるそうだけど……「ちょっと見張りみたいな感じかな、ははは」と薫君は苦笑する。でも、それは嬉しそうだ。
思ったんだけど、薫君の笑顔はちょっと儚い。薄幸って感じじゃなくてきっと顔の表情が綺麗なんだと思う。
部活をしていて陸上部の長距離選手のようで、日に焼けた肌でもやっぱりキレイ。
ーーーーマンションは薫君の家で、両親が海外暮らしなので一人で住んでるそうで、不良のボスはいつしか住み着いたそうだけど、もはや自分の家化してシマの仲間もやって来るらしいです。灰鬼さんは来た事がないようだけど……。
「あの……灰鬼さんとボスは仲が悪いの?」
「双子でも陽と月のような感じだから……でも内面的なことは似ているよ。だから同族嫌悪的なものが二人にはあるのかな」
「灰鬼さんは……月の方かな」
「ううん、『灰鬼』は陽で月は『紫鬼』だと思うよ」
思わず寝るのが好きな事と口数が少なくてナイフを装備していて余り人を信じないようなところがあるから灰鬼さんのイメージが『陽』は無かったけど、あるとしたら『はちみつ色の髪』かな……?
部屋に入ると、不良のボスやシマの不良さんたちが居るのかとドキドキバクバクしたけど居なくて、部屋は整理整頓されていてとっても綺麗な部屋だった
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