3.僕たちの、例えばなりそめかも知れない

1/2
前へ
/93ページ
次へ

3.僕たちの、例えばなりそめかも知れない

こうなってしまった理由がわかって来た気がする。 去年、五上轟(ごどろ)高校では不良たちをまとめた黒と、銀蠅の不良チーム二つの派閥があった。 黒チームの力は凶悪で銀蠅を解散に追いやり地域や学校全ての不良を脅威にかざして、ただの暴力で破壊活動を尽く行っていた。 理事長は基本的に暴力(タイマン)を容認していて、大人(職員)は口出しをしない……生徒の不良魂のモットーを崩すことがないので、僕たち一般生徒は教室外で起きている恐怖に毎日震えていた。 そんな中でも先生は鬼で、平凡クラスだけで結成された生徒会の欠席は禁じた。因みに僕は一年生で副会長を担っていた。二年の今も引き継ぎ副会長だけど。 そんなとき、僕たち平凡クラスに元不良が紛れ込んでいた事が発覚して腰が抜けるほど驚いた。 彼、昂ちゃんは色々なスーパーの特売に目を通していて、特売日には必ず午前中は学校を休んでハシゴするような節約主義の人だったから信じられなかった。 その昂ちゃんが、同年の不良クラスに幼馴染みがいて、眠っていたヤンキー魂に発破を掛けると一年生を中心にはぐれ不良や銀蠅チームの残党などを集めて、『紅チーム』として旗を挙げた。 黒チームと闘争した結果、紅総長は黒総長と一対一のタイマンに勝利を得て、五上轟高校は平和になって平凡生徒でも住みやすくなった高校にしてくれた。 それは、まるでヤンキー映画のようだった。 教室の窓から不良たちがグラウンドに出て走っていき、紅チームの総長を胴上げするシーンもあったほどで……。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1164人が本棚に入れています
本棚に追加