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44. 頭のてっぺんから内臓の奥まで発情してる
広さだけはある脱衣場に来てからも僕はばあちゃんの言ったことを弁解していた。だ、だって小学生の頃でも異性の女の子とお風呂に入浴した話は嘘ではないから、いろいろ考えたら灰鬼さんに知られるだけじゃなくて誰にも誤解されたくないことで……。
でも、灰鬼さんは僕の必死な釈明にはずっと無言で、目の前で服を脱いでいく。
シャツの中に着ていた黒Tシャツを長い腕を通して捲り上げながら脱ぐ仕草がなんだか僕の知らない男っぽい色気に感じて……腹筋や上半身の締まった肢体になんだかどきどきするので視線を横目に逸らした。
じろじろ見るのって、し、失礼だよね……いくら男同士だって……相手はは、ははは灰鬼さんだしっ!いろいろ……され……ッ
(思い出すのは、や、やめよっ)
一人で目のやりどころを探していると腕が伸びてきて、僕の着てる服の裾を掴まれて力のまま捲くられた。
「ふえっ!?」
「央汰も、ーーだろ」
灰鬼さんは泊まるんだらお風呂に入ってもらうのって不思議じゃない。でもなぜ僕までも……!?
「僕は……ッ」
全身肌色の灰鬼さんの見慣れた……ような気がしないでもない姿が近寄ってくると、その指が僕の首に付けているチェーンに触れた。
「誰にも外されてねぇな」
だ、だってそんなことをしたら……っ!
こくんこくんと頭を縦に数回振ると、僕は観念して着ているものをパッパッて、それころ男らしく脱ぎ捨てた。
お、おおおお男同士なんだから、恥ずかしがったら変だから……!
いつの間にか、ばあちゃんが用意をしてくれたお風呂用具。
「あの、タ、タオル……これ」
渡そうとしたら、タオルの方じゃなくて僕の手首を掴まれた。
「俺だけにしろ。オンナなんかに見せてんじゃねぇよ」
!!!
「な、なななない、無いですっ」
やっぱり、僕のさっきの必死で釈明した話は聞いてなかった……。
「容赦なく、教えてやる」
つづく。
※少々加筆致しました。
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