49. スクランブル

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「アイツら黙らしてくるギュオ?ッォマッタ―――ングアァア″ァァァ」 「好きに遊んでろ」 八知さんが黙って見ているはずもないので、恐ろしいことに紅総長の氷室君と元でも3年不良をまとめていた銀チームのリーダー(総長とは言われていなかった)水沢さんに歯向かうように一歩踏み出す直前、灰鬼さんに止められて、信じられないような行動で星の彼方…五上轟高校の星になってしまいました。思わず、この場に居る人みんな見上げていた。 「断末魔の声が聞こえなかったか?…なんてジョーダンは芳て、ハルちゃん相変わらずだな。もう少しお友達を大事に労れって言ったろ」 灰鬼さんは水沢さんを一度一瞥しただけでこの場を何事もなく立ち去ろうとすると、なんだか親し気に灰鬼さんに声を掛ける。 「……」 それでも灰鬼さんは昂ちゃん含め、氷室君までも完全にスルーしながら歩き始める。 「こ、昂ちゃん、ごめっ……あ、ま」 僕はと言うと何の説明も出来なくてただ、昂ちゃんに謝ることしか出来なかった。ちょっと昂ちゃんと氷室君の関係も気になったけども。 「ちゅーたぁ~!?ねっ、氷室、ちゅーたがナゾのイケメンちっく不良に連れられて行くーーーなんで!?」 「はぁ?“ハルちゃん”? 水沢、知ってんのかあの愛死天琉野郎」 「ん? なんで氷室の言うアイシテルになるのかわかんねぇけど、ハルちゃんはハルちゃんだろ。今はもう心配ないんじゃない? やー平和だねぇ」 「「???」」 不良クラスと平凡クラスに分岐する廊下で、灰鬼さんは教室に向かうんじゃなくて、屋上に向かう階段を上って行くのに気が付く僕だった。
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