▼監禁1日目

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「……あの、確認させてください」 「……?」 「私はこの部屋……いえ、家からは出られないし、あなたが出してくれることもないんですね?」 「ああ」 「私が抵抗をしたり、逃げようとしても……それでも、あなたは出してくれないんですね?」 「……ああ」  私の問いに、彼は怒りもせず、咎めもせず、静かに相槌をうっていく。 「……もし、私が抵抗をしたり、逃げようとしたら……どうしますか? 殴りますか? 殺しますか?」 「……」  彼の動きが、とまった。 「……。……答えられないということは、やっぱり私を殺すんですね? それなら今すぐに私を殺して下さい!こんな怖い目に遭うくらいなら、私は…──」 「――殺すわけが無いだろう!死なせるつもりなんかさらさら無い!何故愛しているのに殺さなくてはならない?!俺は君を守りたいだけなんだよっ!」  さっきまで無表情で無関心を思わせる口調だったのに、桐生さんは突如バッと立ち上がり、人が変わったかのようにそう叫んだ。  私の両目からは、自然と涙が流れ落ちる。恐怖からではない。桐生さんの言葉に、圧倒されたんだと思う。 「むしろ、俺のことが気に食わないのなら、気の済むまで俺を殴ってくれて構わない」  そう言う桐生さんの右目は、嘘をついていないように見えた。  ……けれど、出会って間もない桐生さんを、私を誘拐して監禁した桐生さんを、どう信じろっていうの?どこを信じろっていうの?何を信じろっていうの?  私をこんな目に遭わせたあなたのことなんて、信じられるわけがないじゃないっ!
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