▼監禁1日目

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 ──“誘拐”?  そんな単語が頭を過ぎる。  もしもそうならば、呑気に考えごとや、この一室のことについてあれこれ考えている暇はない。身体の重さに屈している場合でもない。  一刻も早く、この一室から逃げ出さなければ……!  私が今まで横になって眠っていたところはベッドの上らしく、そのベッドも言わずもがな全てが白い。シーツの肌触りがいいように思うのは……きっと気のせいじゃない。まさか、高級品?  乗ったモノの体重を支える、ベッドの4本の足を覗き込んでみると、濃い茶色の木で出来ていた。  そこは白色じゃないんだ……。白色と濃い茶色の色使いのせいか、余計に高級品に思えてくる。  いやいや、今はベッドが高級品だとか、そんなことはどうだっていいでしょ。変なところに関心が向いてしまった。  ベッドから降りようと急いで縁に腰掛けると、自分の視界より下からジャラリとした金属に似た音が聴こえた。  おそるおそる、顔を下に向けてその音の正体を確かめてみる。 「……えっ?」  鎖。  銀色に光るずっしりと重たい鎖が、ベッドの足から私の両手両足にまで伸びている。  そして、両手両足のそれぞれの首には、太くてゴツい鉄枷がはめられていた。 「そんな……」  ……逃げられない?  私とベッドの足を繋ぐ鎖は、思っていたよりかは長さがあるように感じる。けど、ぱっと見た感じだと、玄関はおろか、台所にだって届かなさそうだ。
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