人生の道しるべ

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しっかりと矢野さんを見つめ返して、私は返事をした。 「私は、結婚しても親になっても、この会社で働き続けたいと思っています。 私のことを認めてくださる方がいるのなら、その期待に応えたいです。 ただ…生活環境が大きく変わることがわかっているのに、それを言わないままで引き受けるのも、どうかと思うので… 課長と…お話をさせていただいて、私の人生設計をよしと認めてもらえるなら…やってみようと思います」 矢野さんは、満足そうに頷いてくれた。 「私より、よほどしっかりしてるね。 近いうちに、課長をランチに誘っておくわ」 それぞれ会計を済ませて、歩き出してから私は気になっていることを聞いてみた。 「あの…小泉君って、候補には…?」 同期の小泉君は、入社以来何かと私にライバル心をむき出しにしてくる人。 …なるべく避けてるんだけど、会社から紹介された物件に住んでるから、同じマンションだし、運悪く同じ階だし。 週休がずれていることが多くて、あまり遭遇することは多くなくて助かってる。朝も、私が早めに出勤していることもあって、ニアミスしたことはない。 もしかしたら、私の姿が見えたら時間をずらしたりされているかもしれないけど。 でも、職場でも必要事項以外は私に声をかけてきたりはしないのに、健太君に話しかけたというのは正直意外だったな。 私に対しては、嫌がらせをするというよりは、態度が悪いというか。 何かと突っかかってくるというか、そんな感じ。 なんだか小学生を見てるみたいな気持ちになることもある。
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