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stage8:サプライズ過ぎだよ‼
国民的アイドルグループ
ハリケーンのメンバー羽沢駆
下町の平凡なアラフォーOL田沢広美の彼氏
普段の駆は、だんだん本性を現す!?
非常にマイペースなのは分かっていたけど、こけし趣味も怪しいけど、思いついたら即行動‼
かなり突拍子もないヤツだった⁉
駆は、やはり忙しくて大好きな年増彼女
広美となかなか一緒にいられる時間も少ない。
会えても慌ただしいことも多い。。
仕事している広美に、自分都合でタワーズマンションに通って貰うのも辛い。。
そして自分たちの交際がこのタワーズマンションに住んでいたんじゃ、マスコミにすっぽ抜かれやすい。
時間の問題
広美との仲を何とか守っていきたい。。
ふと思いついた‼
…これしかないじゃん‼…
え?あんた、正気なの------っ?
広美は、来店したお客様の希望の物件の内見で外出していた。
その間、広美勤めるほほえみ不動産に一人の青年が来店した。。
広美が内見の案内から戻ると社長夫人が、やたら色めき立っていた。
「さっき、この辺では見かけないようなとびきりいい男のお客様が来店されてね、
それが凄いのよ‼」
「まぁ。。いい男のお客様?ですか。」
「多分30半ばくらいなんだけど、いきなりザ.プライムシタマチの最上階が空いてないかって」
「へぇー‼新築仕立て、ウチが扱っている物件じゃ最高級じゃないですか⁉」
「今、裕貴と内見に早速でかけたわ。
見た目は帽子被って、メガネかけて何か野暮ったいフリーターみたいなのよ。でもよく見るとイケメンなのよ‼おカネ持ちのご子息かしら?それとも危ない事にでも手出したのかしらねぇ。。」
…帽子にメガネ?野暮ったい?でもイケメン?何か覚えあるような?。。まぁいくらでもいるか…
「ホラ!今、IT企業とか、you-tuberとか、
若くても一攫千金手にちゃう若者いますからね~」
暫くすると、息子裕貴とそのお客様が店に戻ってきた。
広美は裏でお客様用のコーヒーを立てる作業をしていた。
裕貴が即座に裏にやってきた。
「広美ちゃん‼すぐコーヒー出せる?凄んごいVIPだから、すぐお出しして‼」
「あぁ、ザ.プライム内見のお客様?」
「そう‼さっき来店して、今、内見して即決購入契約だよっ‼プライム最上階4LDKだよ‼」
「若い方なんでしょ?何者でしょうねぇ?」
「自由業?商売されてるらしいけど。余程カネまわりがいいんだろうね!じゃ、コーヒーお持ちしてね‼」
広美は、コーヒーを用意して裏から出てきた。
「!!!!!!!」
危うくコーヒーをひっくり返しそうになった。
帽子にメガネの、このお客様っ‼
…カ‼カッ‼カケルじゃないか--っ???…
駆は広美をチラッと見て一瞬ニヤけた。
…どーゆーことよっ⁉何でココにいるのよっ?…
広美の全身に震えが来たが、コーヒーは出さないといけないから必死に堪えて
「ご、ご来店あ、あ、ありがとうございますっ。」
顔をひきつらせながらコーヒーをお出しして、足早に裏に逃げた。
…ココで、な、な、何してるのよ?駆…
妙な胸のドキドキが止まらない‼
※※※
「じゃあ、早急に引っ越しの準備も開始しますから‼」
駆は、とっとと契約して手持ちのブラックカードで契約金支払い手続きをして店を後にした。
「いや~‼久しぶりにデカイ契約だねぇ‼」
「バブルの頃以来、高級マンションの即決は滅多にないよなぁ。」
「もっとビックリ‼現住所は、ゴールデンドリームタワーズなんだけど‼」
「えぇっ?あの都心の富裕層とか有名人しか住めないタワーズマンションっ?」
「何でこんな下町のマンションに。。」
…駆っ‼一体どういうことなのっ?…
広美は仕事を終えて駆のタワーズマンションに押し掛けたが、留守だった。
収録があるから帰るのは明け方だとLINEで返事が来た。
広美は、もう‼何から言ってやろうか‼聴いてやろうか‼いきり立っていた。
寝ずに待ちかまえるつもりだったが、耐えられず、いつのまにかリビングのソファーで寝てしまった。。
明け方、駆が帰ってきてソファーで寝ている広美を、そのままにそっと毛布を掛けた。
…もう。。風邪引いたらどうするの?
俺のベットで寝ればいいのに。。
目が覚めたらさぞ怒られるだろうな。。
ちゃんと話すから、そんなに怒らないでね…広美の頭を、ひと撫でしてオデコにそっとキスをした。
朝になり広美はソファーで目覚めて、そっと寝室を覗くと駆は、ベットでぐっすりと眠っていた。
寝顔を見つめて。。
…朝から怒り狂ったら気分悪いよね。
まずは落ち着いて話聴いてあげようかな…
駆の鼻をキュッと摘まんだ。
目覚める気配はなかった。。
さすが広美、オトナだよ!
広美は朝食の準備をした。
あまり時間はないから卵料理と、即製ミネストローネを作り、コーヒーを立ててトーストを焼いた。
匂いにつられ駆が起きてきた。
「おはよ。。広美」
「あ、おはよ‼私、仕事行かなきゃいけないからゴメン、食べよ!」
「ありがとう。。いただきます。」
向かい合い食事を始める二人。
暫く無言だったが駆が切り出してきた。
「広美への初サプライズなんだ。。」
「私の勤め先に来てマンション購入するのが?そりゃサプライズもいいところ‼
。。で?これって何?」
「広美と一緒に暮らす為だよ。」
「え?。。それならばココでも別にいいんじゃないの?全然ココで充分二人で暮らせるじゃん?会社の皆、驚いてるよ?
何でゴールデンドリームタワーズから引っ越して来るんだろって」
「広美の通勤を思ってさ。ここだと電車乗り継がなきゃならないし、広美だって今までの生活をいきなり捨てられないよね?
下町は俺が昔から住みたかったところだからね、あのマンションがまだ売れてなくてヨカッタよ‼」
…何?私をずっと働かせるのか…
「ココはどうするの?こんな立派なタワーズマンション」
「以前からココに住みたがっている後輩がいてね。譲ろうと思って。」
「こけしルーム、どうするの?完璧なレッスンルーム、あんな山程の衣装ルーム‼」
「こけしは勿論一緒に引っ越すよ‼衣装は自分の欲しいものだけ持っていって後は後輩に任せる。レッスンルームは別にレッスンスタジオはいくらでもあるからダイジョウブ‼」
「。。こんな立派なタワーズマンション手放すなんて可笑しいよぉ、ワカラナイ」
「ココは若い頃、くだらない芸能人プライドに負けて購入しちゃったんだけど、いざ住んだら、結局こんな広いとこいらなかったんだよね~。広美と暮らすなら傍にいたいから尚、広くなくていい。以前ほどメンバーや後輩も遊びにも来なくなったし、一人なら飯も寝室で食ってるし、使わないんだよね。どうしても広すぎるのって落ち着かない。」
「かと言って、サプライズ過ぎだよ⁉
私、まだ何も引っ越すとか一緒に暮らすなんて考えてもいないんだよ⁉」
「俺と暮らすの嫌?下町のマンションは、ちゃんと広美だけのプライベートルームも用意するんだけど?」
「困るよ。。そんないきなり。。引っ越し」
「広美のキモチってそんなもんだったの?
俺は1分でも1秒でも一緒にいたくて生活の負担もあまりかけたくなくて、考えたんだけどな。。普段の俺を好きになってくれたからココを手放す気になったのに。。
広美、喜んでくれると思ったのに。。」
駆は、ぶつぶつ言いながらショボンとした。演技派そりゃプロだよ~ん
-この姿に広美は、母性本能くすぐられまくり‼-
「駆。。もう決めちゃったんだもんね‼
私も。。そりゃ引っ越すよ‼引っ越すしかないじゃない‼こんな立派なマンションがあるのに、プライム最上階、買っちゃったんだから‼こうなったら駆と一緒に暮らすっ‼」
「そう来なくちゃっ‼下町で一緒に暮らそう。。嬉しいな‼」
駆は立ちあがり、座ってる広美の傍に寄ってキスをして抱きしめた。
…喜んでいいのか、何だか複雑~っ
突拍子もないヤツ。。何でこんなに、ずっとヤツのペースに巻き込まれているんだ。。
私って…
それも愛なんじゃない?
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