stage9:同棲しちゃいます!

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stage9:同棲しちゃいます!

広美が引っ越しをして、駆とザ.プライムに住むにあたっては、ひとつ勇気を出してしなければならないことがあった。 -勤めるほほえみ不動産の皆に私たちの事をカミングアウト- 何せ近所だし住所変更して、ザ.プライムに住みますなんて最早バレバレでしょ。 業務終了閉店後、広美は、皆さんにチョット話がありますと全員に残って貰った。 社長夫妻、息子の裕貴と、事務アシストの妻、美穂。後輩社員の一矢と大樹。 「まさか、いきなり辞めますなんて言うんじゃないよねぇ?」 「それとも、ついにアラフォー万歳結婚っすかっ?」 …それみたいなものか(照)… 「まぁまぁ、落ち着いて聴いてくださいね‼お願いします。。」広美は頭をさげた。。 ※※※ 話を聴いてる一同の眼が大きく見開き 身体が前にと突き出してきて そりゃ、そりゃ、おったまげだ‼ 「へぇ~っ‼あのお客様が‼」 「ハリケーンの羽沢駆とっ?」 「俺、何も知らずに内見案内しちゃったんだけど」 「広美ちゃん‼どうやってあんな凄いアイドルと知り合ったんですかっ?」 「どうりで最近、綺麗になったと思ったら、ヤッパリね‼私の目に間違いなかったね‼」 「で、それで新築プライムで一緒に暮らすのか。。やっぱ凄っげえよ‼」 裕貴がパソコン画面に、ハリケーンのメンバー写真をアップした。 「この人だよな~。でも来店時は全然アイドルオーラ無かったなぁ。」 …ソレ、本人も言ってます。。よ… 「ともあれ、おめでとう‼ヨカッタね‼」 「で、いつ結婚するの?ジ二ーズのアイドルじゃ大変そうだね。。」 「あ。。結婚は、まだ具体的には。。」 「だよねぇ。。世界中にファンがいるトップアイドルだもの。簡単にスグってわけいかないよね。。」 「これって、真剣にほほえみ不動産の絶対シークレットにしないと‼父さん、母さん‼老人会で絶対にスベらないでよっ‼」 「ダイジョウブだよ、ワシら年寄りはアイドルなど分からん‼」 「ほほえみ不動産は何が何でも広美ちゃんの幸せを秘密厳守よっ‼」 「一矢と、大樹も、友達に喋ったりするなよ‼あ、美穂も、主婦仲間に知られたら一巻のオワリだからな‼」 「そーいう裕貴さんが一番気をつけてくださ~い‼」 「いや~っ、ホント皆で広美ちゃんの幸せを守っていかなきゃな‼」 「広美ちゃん、やっと幸せになれるんだね‼って今も、もう幸せに決まってるよね‼」「皆さん。。ありがとうございます‼」 ホントに、ほほえみ不動産は経営者は家族だけど、従業員とも家族のように仲が良くしてくれて。。広美は、これ以上ない感謝のキモチで胸がいっぱいになった。 社長夫人が5人のメンバー写真を見ながら、一人を指した。 「広美ちゃんの彼氏、この人よね⁉まぁ、いい男だこと‼」 違うメンバーを指していた。 -違-----------うっ‼- お店で顔見たんだよね?。。 大引っ越し開始‼ 互いの荷物が、ザ.プライムに運ばれ、二人とも片付けに追われた。 広美はまだいいが駆は、本当に忙しくてあまり手をつけられない。 しかし頑なに自分でやると聴かない。 自分のモノは触れさせたくないらしい。 広美が少しだけ手を出せるだけ。 広美の荷物は、ほほえみ不動産の男性陣(社長は除く)が手伝ってくれて何とか落ち着いてきた。 「やっぱ凄っげぇなぁ~‼ココにアノ羽沢駆が、帰ってくるのかぁ‼」 「何たってジ二ーズだよ?あのハリケーンだよ‼」 ザ.プライムシタマチ、どーでもいいけど 二人の新.愛の巣の間取り~4LDK紹介‼ タワーズの約半分くらいのリビングにダイニングキッチン。それでも充分上等‼ (タワーズはどんだけあったのか。。) 1:二人の寝室は新しいキングサイズベットにオーディオのみ。コザッパリ じっくり二人の時間を楽しみ、くつろぐ為、余計なモノは置かない。 2:広美専用プライベートルーム。広美のマンションから運んだ必要なモノのみ ひとりになれる部屋があるのは最高だね‼ 3:駆のクローゼットルーム。置いてきたり断捨離したというがギッシリ収納 4:駆専用プライベートルームは当然こけしルームそのまま移転。以上‼ 新居ザ.プライムに、住むようになって初めて駆が、少しだけ早く帰って来れた。 今夜は、時間がある。。 …今夜は久しぶりにやって来るだろうな… 新しいキングサイズベットに二人で入ると やはりやって来た。 駆が、したい時と、しない時は分かりやすい。 疲れていて、しない時は、口唇をチョット重ねて駆は、即オヤスミ3秒昇天 で、したい時はやたら広美の頭を撫でてきて、ハードに口唇が来る。 予想通りハードに熱く口唇を重ねてきたけど、今晩は広美チョット意地悪に阻止してみた。 「ねぇ?駆。聴きたいことあるんだけど?」 「。。どうしたの?」 何だよ止めないでよと言わんばかりに、ふと溜息をついて広美の身体を抱きしめてきた。 「どうして、日原のお爺ちゃんと、知り合いなの?ずっと聴いてみたいと思ってた。」 「あ。。それは俺も、いつ話そうかなと思っていたんだ。」 「聴いていい話なんだね?」 「モチロン。広美の故郷の方のことだし。」 ※※※ 「ハリケーンが結成されて、2年目くらいかな。番組のロケが奥地村であったんだよね。山の中の探検みたいなヤツ。村の人たちがホントに協力してくれてね。お世話になったんだ。」 …そういえば昔、一度だけ奥地村に芸能人が来て大騒ぎ、聴いたことあるなぁ。それが、ハリケーンだったんだ?… 「俺、その頃本気で芸能界辞めたくて、普通に学生やってる同級生とか羨ましくて、アイドルというものに拘束されてるのが辛かったんだよね。」 …普通を求める駆の原点か。。… 「俺、ロケ中に山奥に脱走しちゃったんだ。スタッフと折合い悪くて。。 まぁ、俺もまだガキだったからね。」 「えぇっ⁉」 「山奥に入っちゃったら案の定、迷子になっちゃって、命がけで探してくれたのが日原の爺ちゃんだった。」 「。。爺ちゃん」 「爺ちゃん、最初から俺の様子がオカシイのを察していて、見つかったその日はウチで預かると言って俺を泊めさせてくれたんだ。話を全部聴いてくれて叱咤激励をたっぷり受けた。」 …爺ちゃんならやるよね。そういう人だったもの… 『ワシゃ、芸能界のことなど分からんが、 何を甘えたこと言っとんじゃ‼お前みたいに上にのしあがれるのは僅か、厳しい世界なんじゃないのか?お前みたいになりたくても、なれないヤツが山程おるんじゃろ?沢山の女にもチヤホヤされて羨ましい限りじゃ!お前には才能と素質があって、その世界にご縁があったのじゃろ⁉ それを無にしてどうする?バチが当たるぞ‼ひとつの事をやりとげられないヤツはどの世界に行ってもダメじゃな‼』 …厳しいけどホントの事かも… 『ならば、お前が二人いたっていいのじゃないか?芸能界で輝かしく生きていくお前と、そんなに望むなら普通に生きる本当のお前と。その時々で好きなように生きればいい。気持ちひとつじゃ。別に悪い事ではないぞ?』 「夜中まで、とことんつき合ってくれた。俺は泣いた。。爺ちゃんも泣いてくれた。 ホントに命の恩人なんだ。だから今の俺が、ここにいる。ここまでやって来れたんだ。 そして木工細工も爺ちゃんの薦めで始めた。こけしは子供の頃、家族旅行で東北に行った時にハマッてね。家族に気味悪がられたから、ひた隠しして爺ちゃんに、まずカミングアウトした。」 「爺ちゃん、奥地村で凄い人だったもの。いなくてはならない存在だった。。」 「ホントは、元気なうちにも会いに行こうと思っていたのに、若い頃は今より自由が利かなかったからね。で、婆ちゃんから、爺ちゃん亡くなったと知らせを受けてから、後悔無念のキモチが一杯で、なにがなんでも毎年会いに行くと決めたんだ。その中で広美に出逢ったんだ。」 「もしかしたら。。私たちの奇跡の出逢いは。。爺ちゃんが導いてくれたのかな。」 広美の眼から涙が溢れた。 「そうかも知れないね。。」 駆も眼に涙を溜めていた。 駆は、指先で優しく広美の涙を拭った。 「今度の爺ちゃんのお命日は私も一緒に行きたいな。。」 「モチロンだよ。二人で行こう。 俺たちのこと報告しないとね。ビックリするだろうな。何せ奥地村のお嬢さんとなんだから。」 「お嬢さんってアリ?」 広美はプッと吹き出した。 …輝かしいアイドルも。。やっぱ色々あるんだね。。爺ちゃんみたくはなれないけど、私は、この人に寄り添って支えていかなきゃイケないんだね… 「広美。。寝よっか」 「ん。。寝ないよ。。」 「えっ?寝ないの?」 広美は、絡まるように駆の身体に抱きついてそっと呟いた。 「駆が。。欲しかったんだ。。」 「広美。。欲しくて堪らない。。」 駆は、抱き返して広美の耳もとで熱く溜息をつき、首筋に熱く口唇を滑らせた。。
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