stage10:スキャンダル勃発

1/1

41人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ

stage10:スキャンダル勃発

広美と、駆が下町のザ.プライムで暮らし始めて少し落ち着いたところで 駆は、ハリケーン. アジアンワールドライヴツアーの仕事で約1ケ月近く新居を離れることになった。 香港、上海、ソウル、台北まで、ライヴで、巡業。 その間、日本に何度か帰国はするけど仕事がタイトな為、用意されたホテルに滞在。 会えない時間が長くなる。 駆が、いよいよ出かける日の朝は。。 朝から駆は、広美にベッタリだった。 夕べも、あんなに熱かったのに。。 「あのね、支度が進まないんだけど?」 「だって、暫く会えない分。。」 「コドモじゃないんだからぁ」 言いながらも結構喜んでいたりする広美。 「一緒に連れて行きたい。。」 「そんなの無理でしょうよっ?」嬉しっ‼ 出掛けにも、長~~~~い濃厚なキス。。 「し、し、死んじっ。。んっ‼」 それでもまだ口唇を離さない。 ようやっと離れて 「。。。窒息死するかと思った」 広美は、酸素不足になりかかった? 「会えない分。。。まだ足りないや。。」 駆は、またキスをしょうとしたが 「もぉ終了っ‼マネージャーさん、お待たせしてるよ?行ってらっしゃ~~い‼」 駆の背中をパン‼と叩いて、ようやっと出発させた。やれやれ ほほえみ不動産に出社すると社長夫人が、広美に寄ってきた。 「彼さん、今日から出掛けちゃったのよね?」 まだ、旦那さんでないから駆のことを、彼さんと呼んでくれている。 「はい、今朝出掛けましたよ。」 「淋しいよねぇ?新婚さん同然なのに」 「いえ、いえ‼私たち互いにもう若いわけではないですから~」 ウソツケ‼あんなにイチャついてるくせに~ すると、美穂が慌てて店に飛び込んできた。 「大変っ‼大変っ‼週刊誌にこんなのがっ‼」 「何よ?美穂さん。朝から騒々しいわねぇ‼ココは会社だよ?」 「あ。。広美さん、もう出社していたんだ。。」 「当たり前じゃない。広美ちゃんはアンタみたいにギリギリ飛び込んで来ないよ。」 美穂はバツが悪そうにした。 「美穂さん、週刊誌がどうしたっていうのかしらね?」 社長夫人は、美穂が手にしていた週刊誌を取り上げた。 「アッ‼ダメですよ、待って‼」 「何?何?はざわかける が、ねつあいか」 お婆ちゃんゆえ、実にユックリと読み上げた。 「これ、広美ちゃんが出ているのかい?」 …ち、違うんですよ。。お母さん… 美穂は、真っ青になっていた。 「何ですかね?見せてくださいよ?」 広美は、社長夫人から週刊誌を取ろうとした。 「広美ちゃんっ‼見ちゃダメですっ‼」 「なぁに?私、もう載っちゃいましたかね?」 -ハリケーン.羽沢駆が熱愛か? 女優.清瀬朱々とツーショットドライブ‼- の見出しだった‼ 広美の全身に衝撃が走った。 清瀬朱々は、今、絶好調の若手女優。 清楚イメージながら色々な役所をこなす実力派でもある。 駆とのドラマ映画共演はまだないけど ハリケーン呼ぶZE!には何回かゲスト出演している。 「やっぱり芸能人だよねぇ」 「広美ちゃんには、気の毒だけどハリケーンのアイドル羽沢駆を女性たちが放っておくわけないか。。」 「広美ちゃんを、急に引っ越しさせて一緒に住んでいるというのにイヤだねぇ」 「あ!あのっ‼私は、ダイジョウブですよ‼絶対にそんな日は来ると思ってましたから‼だって。。トップアイドルなんですもん。」 広美は、気丈に振る舞った。 週刊誌には写真も掲載されていた。 駆は車を運転している。 …知る限り車は。。今は、持っていないハズなんだけどな。。こけしは持っていても。。… 駆は、普段仕様変装ではなくサングラスをかけている。 助手席には、女優の清瀬朱々。 嬉しそうな表情で座っている。。 「広美ちゃん‼出ていくなら、またいい部屋用意してあげるから‼」 「イヤ‼広美ちゃんは出ていく必要ないですよ?ヤツを追い出せばいいんだからっ‼」 …駆?これは何か、ウラがある? 私はそう信じるっ‼… 「まぁまぁ‼私はダイジョウブですから、 もう就業時間ですよっ‼」 何もなかったことのように広美は仕事を開始した。 夕方、事務所の片付けをしていたら 社長が買ってきて読んだと思われる スポーツ紙が置いてあった。 メインの見出しは大きく -ハリケーン.羽沢駆、熱愛⁉- の文字が堂々と記載され、週刊誌と同じドライブの様子の写真が出ていた。 広美は文面を読み込んでみた。 双方事務所のコメント。。 -プライベートの事は本人たちに任せております。- 駆が所属しているジ二ーズ事務所は -アジアンワールドツアーを終えましたら、本人から何かしらのコメントがあると思います。- と、あった。 …こうなると。。何か話は違うよね… 広美は、新居に戻り電気もつけず 一人、リビングで茫然としていた。 …トップアイドルなんだから、ずっと一緒にいれば、こういう事があっても仕方ないと思っていた。。覚悟はするつもりだった。。 まさかこんな早くに。。 また二股かけられちゃってたのかな。。 ココは私が耐えるしかないの? 若手女優.清瀬朱々。。 私なんて敵うわけがない。。 駆は、海外ツアーに、出かけちゃった。 簡単に訊くことも出来ない。。… 広美は、駆と深い仲になっても仕事の妨げになってはいけないと、自分からは滅多に連絡を入れない。 広美は、やり場のない辛さにソファーに身を伏せて泣いていた。。 翌日、広美は腫れぼったい顔で出勤した。 …やっぱり。。不憫だねぇ。。… …広美ちゃん、可哀想過ぎるよ… ほほえみ不動産一同、たやすく何も言えず 掛けてあげる慰めの言葉も簡単に見つけられなかった。。 夕方、帰ろうとした時だった。 突然、社長が広美をひき止めた。 「今日は、ココでちゃんこ鍋だ‼ じき準備出来るから食べて行きな‼」 「こ‼ここでちゃんこ鍋ですかぁ?」 やがて買い出しに行っていた裕貴たち男衆3人が、帰ってきて美穂が自宅から大きな鍋を持ってきた。 社長夫人は皿やらグラスを並べ始めた。 「今夜は、広美ちゃんを元気づける宴だよっ‼」 「えぇっ‼」 「って自分たちも呑みたいのっ‼」 「何処か店に行こうかと思ったけど、近所じゃ、やたらぶっちゃけ話出来ないからさ‼」 「なぁに‼男のひとりや、ふたり‼アイドルが何だっ‼広美ちゃんには皆がついている‼」 「明日は休みだし、さぁ‼呑むぞ-っ‼」 「広美ちゃん‼呑め‼呑めっ‼」 皆の優しさ。。温かさ。。 広美は、涙が溢れた。 「もう‼泣いてたら、ちゃんこ煮詰まっちゃうよっ‼」 広美にとって人生で最高のちゃんこ鍋の味だった。 -かなり呑んぢまっただ~♪- 広美が元のマンションに帰ったら マズイので、ここは一矢と大樹がザ.プライムの玄関まで送ってくれた。 新居に帰り、酔いつぶれて着替えも何も出来ず、広美はベットに倒れ込んだ。 広美のスマホに着信電話が入った。 国際電話、駆からだった。 広美はようやっと出た。 📱「広美、なかなか電話出来なくてゴメンね!まだ起きてる?」 📱「かけ~る~?わたし、ねてる~」 📱「大分、酔っ払ってる?誰かと呑んでいたの?」 📱「だれだって、い~じゃ~ん」 📱「誰でも、よくない!」 📱「きよせ~じゅじゅちゃ~ん、いるってか~かわいいもんね~」 📱「はぁ?」 📱「わたしは~しんぱいないよ~ほほえみふどうさん、ちょ~いいやつっ‼」 📱「あぁ、仕事先の人たちと呑んでいたなら、まぁいいけど、広美、ダイジョウブか?」 📱「だ~めぇ‼きよせじゅじゅちゃんには、かないまへ~ん‼アハハッ」 📱「広美。その話なんだけど、カムフラージュだから‼やっぱ、やり過ぎたかな?」 📱「カモアージュ-なに、それ~うまそ~」 📱「…今夜はダメだな。話にならねぇ… また、ちゃんと話すから‼」 📱「ちゃんこ、さいこ~だったよぅ」 📱「はいはい、ちゃんこ、寝なさいっ‼」 駆は、広美が心配でならなかった。 翌朝、広美は、目覚めて …あぁ。。久しぶりにやっちゃったなぁ。。まさか、皆に失態していないよね… 化粧も落とさず、どろどろの自分に愕然とした。 裕貴に、電話で、何気に夕べの自分の様子を訪ねたら ヨロヨロしながらも、一緒に片付けしていたから、大丈夫と言われ、ホッとした。 スマホを見ると深夜の駆との通話履歴が残っていた。 何を話したか記憶にない。。 シャワーを浴びてからキングベットのシーツを取り替えて洗濯してベランダに干した。 駆が、ライヴツアーを終えて帰ってきて、本人と、ちゃんと話をしないと何とも言えないけど。。 社長夫人は、いざとなったら逃げて来なさい‼暫くは家で匿ってあげるからと、言ってくれたけど。。甘えるわけには、いかないよね。。 …また、男はコリゴリになっちゃうのかな。。それも仕方ないか‼ 一瞬でも、駆は私に奇跡的な幸せをくれたんだもんね。もし他の人を選んだとしても、恨んだりしてはいけない。もう、先にはこんなこと、あり得ないんだもの。どうなろうとも私は、強く生きていかなきゃね‼… 広美はベランダから晴れわたる空を見つめていた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加