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stage10:スキャンダル勃発
広美と、駆が下町のザ.プライムで暮らし始めて少し落ち着いたところで
駆は、ハリケーン. アジアンワールドライヴツアーの仕事で約1ケ月近く新居を離れることになった。
香港、上海、ソウル、台北まで、ライヴで、巡業。
その間、日本に何度か帰国はするけど仕事がタイトな為、用意されたホテルに滞在。
会えない時間が長くなる。
駆が、いよいよ出かける日の朝は。。
朝から駆は、広美にベッタリだった。
夕べも、あんなに熱かったのに。。
「あのね、支度が進まないんだけど?」
「だって、暫く会えない分。。」
「コドモじゃないんだからぁ」
言いながらも結構喜んでいたりする広美。
「一緒に連れて行きたい。。」
「そんなの無理でしょうよっ?」嬉しっ‼
出掛けにも、長~~~~い濃厚なキス。。
「し、し、死んじっ。。んっ‼」
それでもまだ口唇を離さない。
ようやっと離れて
「。。。窒息死するかと思った」
広美は、酸素不足になりかかった?
「会えない分。。。まだ足りないや。。」
駆は、またキスをしょうとしたが
「もぉ終了っ‼マネージャーさん、お待たせしてるよ?行ってらっしゃ~~い‼」
駆の背中をパン‼と叩いて、ようやっと出発させた。やれやれ
ほほえみ不動産に出社すると社長夫人が、広美に寄ってきた。
「彼さん、今日から出掛けちゃったのよね?」
まだ、旦那さんでないから駆のことを、彼さんと呼んでくれている。
「はい、今朝出掛けましたよ。」
「淋しいよねぇ?新婚さん同然なのに」
「いえ、いえ‼私たち互いにもう若いわけではないですから~」
ウソツケ‼あんなにイチャついてるくせに~
すると、美穂が慌てて店に飛び込んできた。
「大変っ‼大変っ‼週刊誌にこんなのがっ‼」
「何よ?美穂さん。朝から騒々しいわねぇ‼ココは会社だよ?」
「あ。。広美さん、もう出社していたんだ。。」
「当たり前じゃない。広美ちゃんはアンタみたいにギリギリ飛び込んで来ないよ。」
美穂はバツが悪そうにした。
「美穂さん、週刊誌がどうしたっていうのかしらね?」
社長夫人は、美穂が手にしていた週刊誌を取り上げた。
「アッ‼ダメですよ、待って‼」
「何?何?はざわかける が、ねつあいか」
お婆ちゃんゆえ、実にユックリと読み上げた。
「これ、広美ちゃんが出ているのかい?」
…ち、違うんですよ。。お母さん…
美穂は、真っ青になっていた。
「何ですかね?見せてくださいよ?」
広美は、社長夫人から週刊誌を取ろうとした。
「広美ちゃんっ‼見ちゃダメですっ‼」
「なぁに?私、もう載っちゃいましたかね?」
-ハリケーン.羽沢駆が熱愛か?
女優.清瀬朱々とツーショットドライブ‼-
の見出しだった‼
広美の全身に衝撃が走った。
清瀬朱々は、今、絶好調の若手女優。
清楚イメージながら色々な役所をこなす実力派でもある。
駆とのドラマ映画共演はまだないけど
ハリケーン呼ぶZE!には何回かゲスト出演している。
「やっぱり芸能人だよねぇ」
「広美ちゃんには、気の毒だけどハリケーンのアイドル羽沢駆を女性たちが放っておくわけないか。。」
「広美ちゃんを、急に引っ越しさせて一緒に住んでいるというのにイヤだねぇ」
「あ!あのっ‼私は、ダイジョウブですよ‼絶対にそんな日は来ると思ってましたから‼だって。。トップアイドルなんですもん。」
広美は、気丈に振る舞った。
週刊誌には写真も掲載されていた。
駆は車を運転している。
…知る限り車は。。今は、持っていないハズなんだけどな。。こけしは持っていても。。…
駆は、普段仕様変装ではなくサングラスをかけている。
助手席には、女優の清瀬朱々。
嬉しそうな表情で座っている。。
「広美ちゃん‼出ていくなら、またいい部屋用意してあげるから‼」
「イヤ‼広美ちゃんは出ていく必要ないですよ?ヤツを追い出せばいいんだからっ‼」
…駆?これは何か、ウラがある?
私はそう信じるっ‼…
「まぁまぁ‼私はダイジョウブですから、
もう就業時間ですよっ‼」
何もなかったことのように広美は仕事を開始した。
夕方、事務所の片付けをしていたら
社長が買ってきて読んだと思われる
スポーツ紙が置いてあった。
メインの見出しは大きく
-ハリケーン.羽沢駆、熱愛⁉-
の文字が堂々と記載され、週刊誌と同じドライブの様子の写真が出ていた。
広美は文面を読み込んでみた。
双方事務所のコメント。。
-プライベートの事は本人たちに任せております。-
駆が所属しているジ二ーズ事務所は
-アジアンワールドツアーを終えましたら、本人から何かしらのコメントがあると思います。-
と、あった。
…こうなると。。何か話は違うよね…
広美は、新居に戻り電気もつけず
一人、リビングで茫然としていた。
…トップアイドルなんだから、ずっと一緒にいれば、こういう事があっても仕方ないと思っていた。。覚悟はするつもりだった。。
まさかこんな早くに。。
また二股かけられちゃってたのかな。。
ココは私が耐えるしかないの?
若手女優.清瀬朱々。。
私なんて敵うわけがない。。
駆は、海外ツアーに、出かけちゃった。
簡単に訊くことも出来ない。。…
広美は、駆と深い仲になっても仕事の妨げになってはいけないと、自分からは滅多に連絡を入れない。
広美は、やり場のない辛さにソファーに身を伏せて泣いていた。。
翌日、広美は腫れぼったい顔で出勤した。
…やっぱり。。不憫だねぇ。。…
…広美ちゃん、可哀想過ぎるよ…
ほほえみ不動産一同、たやすく何も言えず
掛けてあげる慰めの言葉も簡単に見つけられなかった。。
夕方、帰ろうとした時だった。
突然、社長が広美をひき止めた。
「今日は、ココでちゃんこ鍋だ‼
じき準備出来るから食べて行きな‼」
「こ‼ここでちゃんこ鍋ですかぁ?」
やがて買い出しに行っていた裕貴たち男衆3人が、帰ってきて美穂が自宅から大きな鍋を持ってきた。
社長夫人は皿やらグラスを並べ始めた。
「今夜は、広美ちゃんを元気づける宴だよっ‼」
「えぇっ‼」
「って自分たちも呑みたいのっ‼」
「何処か店に行こうかと思ったけど、近所じゃ、やたらぶっちゃけ話出来ないからさ‼」
「なぁに‼男のひとりや、ふたり‼アイドルが何だっ‼広美ちゃんには皆がついている‼」
「明日は休みだし、さぁ‼呑むぞ-っ‼」
「広美ちゃん‼呑め‼呑めっ‼」
皆の優しさ。。温かさ。。
広美は、涙が溢れた。
「もう‼泣いてたら、ちゃんこ煮詰まっちゃうよっ‼」
広美にとって人生で最高のちゃんこ鍋の味だった。
-かなり呑んぢまっただ~♪-
広美が元のマンションに帰ったら マズイので、ここは一矢と大樹がザ.プライムの玄関まで送ってくれた。
新居に帰り、酔いつぶれて着替えも何も出来ず、広美はベットに倒れ込んだ。
広美のスマホに着信電話が入った。
国際電話、駆からだった。
広美はようやっと出た。
📱「広美、なかなか電話出来なくてゴメンね!まだ起きてる?」
📱「かけ~る~?わたし、ねてる~」
📱「大分、酔っ払ってる?誰かと呑んでいたの?」
📱「だれだって、い~じゃ~ん」
📱「誰でも、よくない!」
📱「きよせ~じゅじゅちゃ~ん、いるってか~かわいいもんね~」
📱「はぁ?」
📱「わたしは~しんぱいないよ~ほほえみふどうさん、ちょ~いいやつっ‼」
📱「あぁ、仕事先の人たちと呑んでいたなら、まぁいいけど、広美、ダイジョウブか?」
📱「だ~めぇ‼きよせじゅじゅちゃんには、かないまへ~ん‼アハハッ」
📱「広美。その話なんだけど、カムフラージュだから‼やっぱ、やり過ぎたかな?」
📱「カモアージュ-なに、それ~うまそ~」
📱「…今夜はダメだな。話にならねぇ…
また、ちゃんと話すから‼」
📱「ちゃんこ、さいこ~だったよぅ」
📱「はいはい、ちゃんこ、寝なさいっ‼」
駆は、広美が心配でならなかった。
翌朝、広美は、目覚めて
…あぁ。。久しぶりにやっちゃったなぁ。。まさか、皆に失態していないよね…
化粧も落とさず、どろどろの自分に愕然とした。
裕貴に、電話で、何気に夕べの自分の様子を訪ねたら
ヨロヨロしながらも、一緒に片付けしていたから、大丈夫と言われ、ホッとした。
スマホを見ると深夜の駆との通話履歴が残っていた。
何を話したか記憶にない。。
シャワーを浴びてからキングベットのシーツを取り替えて洗濯してベランダに干した。
駆が、ライヴツアーを終えて帰ってきて、本人と、ちゃんと話をしないと何とも言えないけど。。
社長夫人は、いざとなったら逃げて来なさい‼暫くは家で匿ってあげるからと、言ってくれたけど。。甘えるわけには、いかないよね。。
…また、男はコリゴリになっちゃうのかな。。それも仕方ないか‼
一瞬でも、駆は私に奇跡的な幸せをくれたんだもんね。もし他の人を選んだとしても、恨んだりしてはいけない。もう、先にはこんなこと、あり得ないんだもの。どうなろうとも私は、強く生きていかなきゃね‼…
広美はベランダから晴れわたる空を見つめていた。
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