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stage11:駆の電撃発表
駆は、アジアンワールドライヴツアーに出発する前に、ジ二ーズ事務所社長、ジ二ー南氏の元を訪ねていた。
-個人的な大事な話があります。-
社長ジ二ー南氏は、大勢の所属タレント全員の名前を覚えきれないので、会話の際は相手に対して、BOYと呼んでいる。
モチロン、トップアイドルハリケーン.羽沢駆が分からないわけではない。
「BOY、アジアンツアーのスタンバイは、ベストかい?」
「はい。ベストコンディションで挑めそうです。ご安心ください‼」
「で?BOY、個人的な話とは?何かあったのかい?」
※※※
「BOYも、かい。。去年、キムタコが、結婚したばかりなのに。。まぁ、皆がそういう年齢になって来たんだから仕方ないが」
「アイドル活動、ハリケーンに支障を与えるなら、いかなる処分も、受けるつもりです。」
「さぞ、ハリケーン全ファンは、衝撃を受けよう。BOYも、あらゆるバッシングを受けるかも知れない。ましては、お相手は一般の方という。覚悟と責任を持ち、お相手を、しっかり守り、何事にも立ち向かっていくというのであれば、私は、BOY自身にプライベートは任せる。」
一応、お許しを頂いた?
そして駆は、ある突拍子もないカムフラージュを執行したい意も伝えた。
「BOY!なかなか危険なことを考えているねぇ。しかし面白そうだな。
やってまれ----------ぇ‼」
※※※
広美は、何とか気を取り直し、ほほえみ不動産で、勤務に励んでいた。
昼時、広美が、事務所裏で、お弁当を食べていたら、一矢が、凄い形相で呼びに来た。
「ひっ!広美さんっ‼大変ですっ‼」
「どうしたの?いきなり」
「はっ‼羽沢駆さんが、来てますっ‼」
「はぁっ⁉」
…ウワッ‼本物の羽沢駆だっ‼…
…やっぱ、かっけえ‼…
…アイドルだ‼こないだと別人みたい‼…
今日は、仕事の合間ゆえ、衣装ではないけどアイドルオーラバッチリのイデタチで突然現れた。
「い、いらっしゃいませ‼先だっては、ザ.プライムご入居頂きまして誠に有難うございました‼」
裕貴は、若干オタオタしている。
広美が事務所に戻り、駆が広美の姿を見ると
「ウチの広美が、大変お世話になっております。」と、丁寧に頭を下げてきた。
「あ。。あの、何しているんですか?」
…また、突拍子もないことを…
広美は、駆に詰め寄った。
「どうして、ここへ。。アジアンツアー中じゃないんですか?」
広美は、職場ゆえ、必然的に敬語が出てくる。
「此方の仕事で、一時帰国してまして、一端スタジオから、抜けてまいりました。お忙しい中、申し訳ありませんが、今日を逃すと伺えるのは、ツアー終了後になってしまいます。時間は取らせませんので。」
「いくらなんでも、いきなりは、困りますよ?お店に迷惑なんだけど?帰ってきてから、話しょうって言っていたのに。」
広美は、因惑の表情をした。
「いきなりで失礼は、承知の上、大変申し訳なく思っております。皆さんは私と広美の事は、既にご存知と伺っておりまして、まずスキャンダルを、出してしまい心配お掛けしている筈です。申し訳ありません。」
…イヤイヤ、広美ちゃんが可哀想で…
「ここは、二人だけで話すよりも、皆さんにもご理解頂いた方が良いのかなと思いました。」
駆の今まで見せたことのない真摯な姿だった。
「広美ちゃんを泣かすようなら、さっさと帰っておくれ‼この先は、私たちが広美ちゃんを、大事に守っていくんだから‼」
江戸っ子社長夫人、即攻撃パンチ発言‼
「イヤイヤ、ともあれ話を伺いましょうよ?こんな凄い方が忙しい中、折角おいでになっているんですから」
裕貴が、場の押えに入る。
「あのスキャンダル記事は、私がワザと仕掛けました。広美さんと、きちんと結婚するためです。」
…素人には、よく分からんなぁ。。…
「私たちの世界には、スキャンダルは、ツキモノです。それは、ガセであったり、真実であったり。注目を浴びる為に出すこともあります。」
…そういうこともあるのか‼…
「私は、広美さんとのことは、スキャンダルになって欲しくなかったので、守るために、このような行動をしました。別話題を1度出しておけば、暫くはソチラに注目が行く。
その間に、密かに広美さんとの関係に、ケジメをつけようと思いました。」
「じゃあ、スキャンダルは、ヤラセ的なモノだったんですか?」
「はい。ワザとフォーカスされるように女優の清瀬さんに、協力してもらいました。写ってはいないけど、後部座席には、清瀬さんのマネージャーも乗ってます。私たちの、詳しいことまでは、話していませんが。」
「それじゃ、何だか清瀬朱々さんが可哀想じゃないっすか?」
「今をトキメク女優さんを。。ねぇ」
「これは、事情あって非公表なんですが、清瀬朱々さんは、実は遠いイトコで、小さい頃から知り合いだったんです。お願いしたら快く協力してくれました。」
…ひょえ----------っ‼…
…アイドルと女優、イトコ同士‼…
…凄んご--いっ‼どんなん家系だ⁉…
…事情って何だ?それこそスキャンダルじゃないかっ?…
「で?結局、広美ちゃんの事は?」
「アジアンツアーが終了したら、入籍して
世間に報告するつもりです。」
…私。。駆と結婚するの?。。…
広美は、ポッカ-ンとしていた。
「ほほえみ不動産の皆さんは、これで私たちの証人です。今後とも私たちをよろしくお願い致します‼」
-こ‼公開プロポーズってか?-
…えぇっ‼私、ホントに駆と結婚するのっ⁉…
「広美ちゃん‼ヨカッタじゃない‼」
「アラフォ-広美、ついに結婚だ~っ‼」「まず、ここで、電撃発表とは、たまげたもんだ‼」
「この人なら、ダイジョウブだ‼広美ちゃん、安心しな。」社長夫人、別人
「駆さん‼皆が、もう熱烈ファンになっちゃいますよっ‼」
「え---っ⁉ほほえみ不動産に、今までファンいなかったんですか?マジすか。。」
-その日の晩。二人の電話-
📱「もうっ‼これ以上、驚くことしないでよっ‼恥ずかしいよ。。駆は、ホント真っ直ぐで、突拍子もないんだからっ‼」
📱「楽しかったでしょ?またサプライズしちゃったな‼」
📱「ほほえみ不動産の皆だから、許されるんだからね⁉」
📱「分かってるよ。俺は、生涯広美を裏切らない誓いをするつもりで、皆さんの前で電撃発表させてもらった。ほほえみ不動産の皆さんに暖かく受けとめて頂いて感謝しているよ。」
📱「で?。。ホントに私なんかと結婚するつもりなの?」
📱「じゃなきゃ、ほほえみ不動産に出向かないよ。」
📱「会社、ジニーズ事務所は、大丈夫なの?」
📱「社長の了承、頂けたから大丈夫。」
📱「BOYもか?って言われたんじゃない?」
📱「それは、言われちゃった。でも広美は、心配しなくて大丈夫だからね。」
📱「私、オバサンだよ?。。こんなオバサンと、ホントにいいの?」
📱「オバサンだろうが、何だろうが田沢広美は、俺にって一番大事な人だ。」
📱「駆。。。。」
広美に熱いものが、込み上げてきた。
📱「皆の前じゃなくて、電話じゃなくて直接、君の目の前で、まず言いたかった。順番狂っちゃった。。ゴメンね。」
📱「。。ダイジョウブだよ。そんなの」
一呼吸置いた。。
📱「広美。ずっと俺の傍に。。一緒にいてください。」
駆の、囁きのような真剣な声が聴こえた。
広美は、電話口で嬉し涙に暮れた。。
📱「駆。。。ずっと私を傍にいさせてください。。」
広美は、かすかに震えながら、ようやっと返事をした。
📱「広美。愛してる。。。」
📱「駆。。私も愛してるよ。。。ありかとう」
ヨカッタのう~
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