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stage12:アイドルと結婚大変っ!
広美と駆は、リビングのソファーに並んで
座り、目の前に置いてある白い紙を見つめていた。
「。。これがねぇ。初めて見た、ホンモノ」
「俺だって。。ドラマの撮影でも、こういうシーンは、まだなかったカナ。」
-婚姻届-
二人は緊張しながら、それぞれの名前を記入した。
「考えてみたらさ、たざわ と はざわ 何か似てるよね?」
「ホントだぁ、私、たざわひろみが、はざわひろみになるんだ。。」
「いいの?ホントにそれで」
駆は、悪戯っぽく囁いた。
「じゃぁ、どうすればいいのよ?」
「。。こけしひろみ」
「イヤだっ‼そんなのっ」
広美は、ムッとしてそっぽを向いた。
「冗談だよ~ん!こけちゃ~ん‼」
イヤがる広美を、駆は、無理矢理包むように抱きしめる。
腕のなかでふざけて暴れる広美
「イヤだぁ~っ‼もう、こけしルームに入ってなよっ‼出て来なくていいよっ‼」
なーんていいならがら、イチャイチャタイムに突入。。後は想像通り、ウッフンだ~
翌日、駆のマネージャーが、代理で婚姻届を提出する為、受取にマンションに来た。
広美は、マネージャーとは、勿論初対面だった。広美と同世代くらいの男性だった。
広美を見てオモムロに…えっ?…という顔をした。
…この人と?マジかよって思ってる。。…
言っちまえ~‼
「ウ、ウチの主人が、大変お世話になってますっ‼」
初めて言っちまった~‼産まれて45年、
生涯言うことはナイと思っていたセリフ。
…広美っ‼ようやった‼…
「いえいえ、こちらこそ、何だか私と同世代くらいなんだなぁと思って。。あっ‼スミマセンッ‼」
マネージャーは、慌てて思わず本心を滑らせてしまった。
…お姉さんかと思っちゃったよ。。カケルゥ?何でこんな年増。。やっぱ変なヤツだな…マネージャーの内心。。失礼だなぁ
「それが、何か?」
駆は、マネージャーをギロリと睨んでから、広美にナイスプレー‼とウインクをした。
-ジニーズ事務所よりマスコミ各社に一斉にFAXが届いた‼-
ついに日本列島、いや世界中?に衝撃が走った‼
-日頃より多大なる応援を有難うございます。
私、ハリケーンの羽沢駆は、この度結婚する運びとなりましたので、皆様にご報告させて頂きます。※※※
尚、お相手につきましては、一般女性の方となりますので、すべて非公表とさせて頂きたく思います。
何卒、この事情をご理解頂き私たちを静かに見守ってくださいますようお願い申し上げます。
私自身は、今まで通りハリケーンのメンバーとして一切何も変わらず全力投球してまいります。今後とも更によろしくお願い致します。ハリケーン.羽沢駆-
SNSでは、ファンからの嘆き、叫び、お祝いあらゆるツイ-トでパンク寸前になった。
スポーツ紙、ワイドショー、週刊誌
-羽沢駆‼清瀬朱々とスピード破局?一般女性と結婚‼-トップ一面を飾った。
…これ。。私のことなんだよね…
奇跡から夢へ~夢から現実に
とはいえ
今まで通り、変わらず広美は、ほほえみ不動産に通勤していた。
やはり、嗅ぎつけたマスコミ、ファンの女子が押し寄せつつあった。
先にマンションから出かけた駆から、気をつけるよう注意LINEが来た。
駆:マンション近くに、週刊文鳥が張っているからね:
:了解しました(-_-ゞ):広美
広美が、マンションの玄関を出ると、早速記者らしき人物が、広美に駆け寄ってきた。
「あの!このマンションの住民の方ですよね?コチラのマンションに、アイドルハリケーンの羽沢駆さんが、結婚されてお住いになっていらっしゃるらしいんですが⁉」
…早速、来たな---------っ…
広美は、顔が引きつりそうになった。
駆からの申し伝え
…広美っ‼いざとなったら、女優こけしひろみになるんだ‼…
…ナニそれ?女優なんてなれるわけないじゃん?女優こけしひろみって何だよっ…
夕べの、イチャイチャの中での会話が思い出された。
…いざ‼女優こけしひろみになるのだっ‼…
「え---っ?このマンションにハリケーンの羽沢駆が住んでいるんですかっ?本当にっ?」
ビックリポン‼状態で、喋ってみた。
「ご存知ないんですか?」
「イヤ、何も。。ウチ、入居したばかりなんで、知らな~い‼え--っ?マジ?」
見事な交わしを演じた。
「住民の方すらご存知ないですか。。」
「知らないです。スミマセン。私、これから仕事に行かなきゃならないんですが」
「あ、忙しい中、ありかとうございました‼」
…やっぱ、貴女が、奥様になられた方ですよね!とは、ならないんだ(苦笑)…
ほほえみ不動産にも、ついにファンらしき女子が現れた‼
「あのっ‼コチラに、カケルの奥さんになった女がいるんですかっ?」
一同、南極北極、ブリザード凍りついた‼
広美は、咄嗟に裏に逃げる体勢で凍りついた‼
一同、広美に
…逃げたらアカン‼…
一斉に目線で、合図した。
そこで、あっぱれ社長夫人の撃退プレーが、始まる‼
「すみませんねぇ。彼女、退職しちゃったのよ~‼アイドルさんと、結婚したら仕事なんてしなくてもいいからねぇ。。」
「で?何処にいるんですかっ?その女っ‼」
「いや~、退職されてからは、もう分からないですねぇ、もう違う世界の人ですからねぇ。」
大体の訪問者は、これで退散する。
しかし中には、粘るツワモノもいた。
「もしかして、この人ですかっ?」
まず、裕貴の妻、美穂がターゲットにされる。
確かに美穂は、かなり歳下、まだ?33歳
子供ふたりいながらも広美よりはモチロン全然若い。
「あ、このコの旦那、この人だから」
すかさず裕貴を、指す。
…えぇっ?じゃあ、まさかっ、コッチのオバサン?…
広美に目線が、向けられた。
…このオバサン、あり得ない目線だ。。
実は、私なんだよ~ん…
バレたら、この世のオワリさ‼
「このコの旦那、この人‼」
後輩社員31歳一矢に、ターゲットを向ける。
…俺?チョット勘弁してくださいよぉ。。
広美さんには、お世話になってるけど…
ウソもホウベン
それでも、何がなんでも、喰い下がらないファン女子が、ひとりだけいた。
社長夫人のトドメの一撃‼
「ゴメンねぇ。。実は、相手は私なのよぉ‼毎晩、カケルちゃんが可愛くてねぇ‼」
彼女は、ドン引きで、やっと退散していった。
そんな日々が暫く続き。。
広美は、事務所の裏で重たい気持ちになっていた。
社長夫人が、傍に来た。
「広美ちゃんが、今何を考えているか、当ててあげるよ。」
「夫人。。。」
「お店に迷惑だから、退職しょうかな」
広美は、図星だった。
「ゴメンなさい。。やはり商売の邪魔を。。迷惑かけてしまい申し訳ありません‼」
「なぁに言ってるんだよっ‼バカなコだねっ‼」
社長夫人は、広美の頭をパチッと叩いた。
…イテッ‼…
「何、余計な心配してんのよ‼ウチは大丈夫に決まってるでしょっ‼」
「。。夫人」
「私ら、案外楽しんでいるのよっ‼色々なお客様は来るけど、こういうお客様たちなんて、今まで来なかったんだから‼
そのお陰で1件、新規契約も入ったんだからねぇ‼有り難いわよ‼」
「このまま。。よろしいんですか?私。」
「当たり前だよっ‼広美ちゃんは、私たちの家族なんだから‼モチロン、カケルちゃんもね‼」
…ありゃ?いつの間にか、カケルちゃん呼ばわり(笑)…
広美は、このほほえみ不動産には、モチロン今までの生活が続くようにしてくれた駆にも、感謝のキモチで、イッパイになったと同時に
アイドルと結婚。。やっぱ何かと大変だなぁ。。
しみじみ感じた。
※※※
数日後の晩、ついに幸せな贈り物を、駆は、用意して、帰ってきた。
婚約指輪、結婚記念としてのペアリングは、見事なダイヤモンドが施された煌びらやかなリング。セレクトは駆。
…一体おいくらするんだろう。。…
初めて見る豪華リングに広美、絶句
そして、普段も着用出来るシンプルなデザインのシルバーのペアリング。
これは広美が選んだ。
互いに付け合ってみた。
…産まれて45年、愛する人の手で、
私の左薬指に、初めて永遠の愛を誓うリングが納まった。。…
広美は、喜びの鳥肌が立ってしまった。
「広美、どうする?このまま、はめておく?」
「ううん。。やっぱ挙式の時に改めてがいいかな?」
「俺も、その日から、ずーっとはめておこう」
「なぁに言ってるの?結婚指輪はめてるアイドルなんて、見たことないよ?人気暴落確定だよっ⁉」
「え~っ?ダメかなぁ?目と鼻と口と耳と同じカラダの一部ですって言やいいじゃん?」
「そーゆー問題ではございませんっ‼」
既に姉さん女房広美、ビシッと一喝‼
「スミマセ~~ン。。。」
二人して並べて手をかざし、
左薬指に光るリングを、うっとりと眺めていた。
…ずっと一緒に幸せでいようね…
めでたしめでたし
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