laststage:ハッピーフィナーレ

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laststage:ハッピーフィナーレ

広美と、駆は広美の故郷岡山の奥地村に向かう為、ローカル線に乗っていた。 勿論、遅らせばせながら広美の両親に、ご挨拶と日原の爺ちゃん婆ちゃんに会いに行く。 まさに、二人の出逢いのローカル線。。 あれから、夫婦になって乗る日が来るとは。。互いに不思議な気持ちにかられていた。 車内は、学生などで割と混んでいたから、 二人はあえて会話はせずに、寄り添って眠っていた。 終点奥地村入口駅に到着した。 既に、奥地村では田沢さんところの広美ちゃんが、あのアイドルのハリケーンの羽沢駆と結婚したと知れ渡ってしまっていた。 広美が、婿さんを連れて里帰りだが、やはり相手が普通の人ではないから、村長が予め -村民の皆様。あくまでもご本人達のプライベートでありますので、騒がれることなく静かにお過ごし頂きますよう、くれぐれもお願いします。- と全村民に呼びかけてくださったので、大騒ぎにはならなかった。 が、やはり二人の姿を アイドル羽沢駆の姿を一目見ようと、それなりの村民ギャラリーが出迎えていた。 但し、モチロン田沢家一族は、大騒ぎとなっていた‼ 毎度、集結するけど、全?親戚がここぞとばかり大集結した‼ -あの大スターが来るんじゃ---‼- -ハリケーン襲来じゃ------‼- 「いや~‼広美ちゃんが、まさか大スターを連れて帰ってくるとはのう‼で~れ~驚きじゃ‼」 「芸能界なんて、いくらでもペッピンさんおるじゃろうに、何で広美」 兄.智弘、本音キツスギ‼ 「失礼じゃな----っ‼もぉっ‼」 駆は、事後報告で遅くなり申し訳ありませんと、若干緊張の面持で、きちんと広美の両親に挨拶をした。 父親は、「奥地村に、もうちょっと若くてマシなのが、おるけんが広美で、本当によろしかったのでしょうか?賞味期限が過ぎた娘でございますが宜しく頼みます。」と頭をさげた。 「もぉっ‼お父さんまで、皆、失礼じゃな~っ‼まったく‼兄ちゃんと一緒じゃ‼」 広美は、膨れた。 母親は、アイドル羽沢駆を目の前に浮き足立った。 「ようやっと貰い手がと思ったら、まさかこんなテレビに出ているようなお方とは。。実は娘が羨ましいですわ~。こんな私じゃなかった‼娘でよければ宜しくお願いします。」デレデレしながら頭をさげた。 …お母さん‼私じゃないって何じゃそれ~っ… 「一度は、そちらの埼玉の親御様にもご挨拶せんとなりませんねぇ。」 「必ずやその機会を作らせて頂きますので、どうか宜しくお願いします。」 その晩は、田沢家でお祝いの大宴会となった。 「いや~‼この人、まったくフツーじゃな‼テレビで見るあのアイドルと思えんじゃ‼」まったく飾らないアイドルオーラ無しの普段の駆は、そのキャラで、家族親戚にスグに溶け込んでいった。 翌日二人は勿論、日原の爺ちゃんのお墓参りにも、出向いた。 「爺ちゃん、広美が隣にいるから、驚いてるだろうね‼」 「広美、いかず後家にならんでヨカッタなぁって、笑ってると思う。」 …私たち、爺ちゃんからの奇跡のご縁で一緒になりました。奥地村から、見守っていてくださいね… と二人揃って手を合わせた。ナ~ム~ …こりゃめでたいじゃ‼兄ちゃん、広美ちゃん。仲良くやっていくのじゃぞ‼… 日原の婆ちゃんのところにも寄った。 日原の爺ちゃん婆ちゃんは、駆のことを最初から兄ちゃんと呼んでいた。 「兄ちゃんが、まさか広美ちゃんを連れてくるとはなぁ‼たまげたじゃ‼」 「多分、爺ちゃんが引き合わせてくれたんだと思ってます。」 「いゃぁ、やはり東京は、凄いところじゃのう‼広美ちゃん‼こんないい男、捕まえてなぁ?」 「いやいや、婆ちゃん‼俺たちは、奥地村で出会ったようなものなんですよ‼」 「そうじゃったかぁ?兄ちゃんが一番最初にココに来た時は、何だか危なっかしい辛そうな顔した、兄ちゃんだったけど、今は、立派なアイドルさんで、しっかり嫁さんも貰ってなぁ!ワシャも嬉しいじゃ‼」 ※※※ 「でね、婆ちゃん。やっぱアレは1ヶ月にガンバっても1体で目一杯だわ、すまないね。」 「そうじゃろうなぁ、忙しいもんなぁ。だけど注文が、で~れ~来ているらしいんじゃよ‼」 「駆?注文って何のこと?」 「広美ちゃんには、黙っておったんじゃ?」 「はい、今日、明かしますよ‼」 3人は、村の小さな即売所に出掛けた。 店内には、地場産の新鮮な野菜、山菜、うみたて玉子。。手造り惣菜、手工芸品などが楽しく並んでいる。 「広美、あれがサプライズ。奥地村に行ったら分かるよって言ったヤツ」 陳列棚を、指さした。 二対になっている可愛らしい、変わったこけしが置かれていた。 二対は、何気にハート型で一体となっていて、その顔は、何処となく広美と駆に似せているようなユーモラスで可愛い表情に描かれている実に不思議なこけしだった。 大きさも、程よくてインテリアでチョット置くのに良いサイズ。 「なぁにぃ?この、こけしちゃんたち‼」 広美は、クスッと笑って手に取った。 「俺の自作品、 奥地村愛のこけちゃん,S‼」 「こ、これ売り出しているのっ?」 「広美と出会ってから、思いついて作り始めた。微力でも爺ちゃんの意思を継ぎたくて、で婆ちゃんとこに送ってから、店に置いてもらうようになったんだ。」 「売り上げは婆ちゃんのにしてと、このコ、受け取らんのじゃよ~」 「そんな、素人作品だし、お世話になってるお礼の気持ちっすよ!」 「でな、これが知るひとぞ知るで、すぐ売り切れて、欲しいって言ってくるお客さんが結構おるみたいなんじゃ。」 「最近、お買いになった女の子が、彼氏が出来ましたとか言いに来るんよ!このこけしが、縁結びじゃって、それが口コミで広まってるみたいじゃよ!」 レジのオバチャンが寄ってきた。 「まさか駆が、作っているのは皆、知っているわけないよね⁉」 「知らないよ!知りたがっている人もいるらしいけど、よその人、シークレットで通してもらってるよ。」 「村長が、このこけしちゃんが、もう少しメジャーになったら村のイメージキャラクターにしょうか考えてるみたいじゃよ‼」 …へぇ----っ‼駆は、とっくに奥地村にとけ込んでいたんだね。。… 帰りのローカル線車内。。 乗客は、広美と駆 二人きりだった。 最初に出逢った時と同じだ。 「私たち。。このローカル線に、行きしな、たまたま隣り合って座って、互いに寝ちゃって頭がぶつかっちゃったのが、キッカケだったんだよね。」 「うん。あの時は俺、ホントに寝ちゃってたな。」 「で、駆が、確か声かけてきたんだよね。。」 「えっ?俺が?広美から声かけてきたんじゃないの?」 「えぇっ?駆からだよ‼確か里帰りですか?みたいな」 「そうだったかなぁ。。」 「最初、このオバさんにナンパ?って思って私、引いていたんだから‼」 「まぁ。。これってナンパだったのか~ うん、広美は最初かなり引いていたね‼」 「でもさ、どういう気持ちだったの?最初って」 「いいの?ぶっちゃけて」 「いいよ!知りたいと思ってたもの。」 「広美が、いつ俺のことに気がついてくれるのか、まず見たかった‼」 「マジで-----ぇっ?」 「気がつくまで、結構かかったから、かなり楽しかったよ‼」 「。。そんな動機かいな‼まぁ、そんなもんかぁ。。まさかアイドルが身近にいるなんて思うわけないもの‼隣席に、そんな人がいるなんて思わないよ‼」 「俺、アイドルオーラ、ないからね‼」 駆は、目を細めて笑っていた。 「だから、ヨカッタんだもん。。。」 広美は、はにかんで、そっと手を駆の手に重ねた。 駆は、広美の手をしっかり握り返した。 「実はね、こけしルームに、愛のこけちゃん,S一作目を大事にしまってあるんだ。 帰ったら見せてあげるよ。」 「一作目が、ウチにあったんだ?」 「一作目は、広美とこのローカル線で出逢った後に、スグに作り始めたんだ。」 「そうなの?」 「ローカル線で、隣席になったあの女性とまた、会いたいなって。アイドルやってる俺だけど、広美にまた会えますようにって思いながら作っていた。」 駆は、照れくさそうに話した。 広美は、黙ったままうつ向いていた。 やがて、熱いモノがこみ上げて来て、駆の胸に寄りかかった。 「駆。。ゴメン。。嬉しすぎて。。」 「俺も。。広美が隣に座っていてくれて嬉しかったよ。」 駆は、手をまわし、しっかりと広美の肩を抱いた。 -奇跡の出逢いのローカル線- 二人は隣席に座っていた。 :本編END:
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