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stage2:衝撃‼青年の正体
広美が出逢って、LINEのやり取りが始まったこの青年は。。
男性アイドルを続々と華やかにデビューさせ芸能界を取り仕切るほどの大手プロダクションは、ジ二ーズ事務所所属の
今や、日本もとより世界中にファンを持つ
トップアイドルグループ
ハリケーン のメンバー
羽沢駆 35歳
広美は全く気がついていない。
1日1回は、不定期に駆からLINEが来るようになった。
広美は、勿論比較的スグに返信出来るものの、やはり駆からの返信は既読が遅れたり返信も、とんでもない時間だったりした。
頻度は少ないものの何気ない会話のLINEは広美にとって何となく楽しみになり
駆も心地よく楽しんでいた。
…いいんだ。当然、先は望まない‼望んだらダメだ‼また痛い目に遭うゾ‼
アラフォー半ばで、初めて歳下男子とLINEやり取り、充分嬉しいじゃん‼…
と言いきかせ広美は心穏やかな毎日を過ごしていた。
-いよいよ、ここから駆の本命探訪プログラムが始まる-
こだわりSTEP.1~自分がお気にいりの隠れ家食堂で初デート‼
駆は芸能人だから、さぞお洒落な高級レストランでデートと思いきや、とんでもない!
今までの女8割が、まずSTEP1で、辞退している。。
この食堂、ボリュームあってメチャ旨いんだぜ‼絶対にお薦めなんだけどな~
ただ店の外装も内装も女子ウケはしない、
何で初デートなのにこんな店なのっ⁉
それぞれキレたりドン引きしたり
そーゆーいい店は、ちゃんと俺と付き合ってから連れて行ってあげるさ‼
俺とここでまず楽しく食事が出来るか確かめたいんだな‼
…田沢さんはどんな反応するだろ、ましてや俺のこと分かってないからクリアしちゃったりして?…
次なるSTEP.2は、駆のご用達、ボロ民宿でお泊まりデート!フラッとひとりでやってきても泊めてくれる馴染みの隠れ宿。ここも、メチャ飯が旨いんだよ‼で、もう仲が良いから太っ腹に呑ませてくれる‼って勿論ある程度は支払うけど。ちなみに声筒抜けの民宿だから、ここでは手を出すべからず。
STEP.3は、最終段階。俺の家に来てもらい全てを見てもらう‼見ちゃイケないモノまで見せちゃうぞ。。
ってな俺プログラム‼
KACE:今度の土曜日、百本木まで来れる?
ちょっとしか会えないけど昼飯つき合ってくれないかな?:
-駆からの思いがけないランチデートの?
お誘いLINE-
…ひゃー-------っ‼お誘いっ?…
広美は顔を赤らめた。
…そ、そんな。。会うなんて、着ていく服なんて、どーすんのよっ、このヘアスタイルっ…
チョット恋愛していたあの頃が甦る。。
KACE:30分位しか取れないけど会ってくれる?確か仕事休みだよね?:
…い、いや休みだけど。。さ、30分って何?…
広美があたふたしているのが見えてるかのように、次にこんな文面が来た。
KACE:全然気使わないで気軽に来てくれていいから。もし都合悪かったら日を改めるwww:
…あ、別に行けるし、いいよね一度会うくらいは。。返信しなきゃ…
:土曜日、大丈夫です。行きます:広美
と返信すると
お店の位置が分かるGoogleマップを添付してきた。
KACE:楽しみ♪よろしくwww:
-今度の土曜日、昼12時百本木の、
あっちゃん食堂で待ち合わせ-
その日が来た‼
広美は、やはり普段よりは自分メイクを丁寧に施し、やっぱり男性と会うんだから百本木に行くんだからと、持ちあわせの中で必死にコーディネートさせた精一杯のファッションで、出かけた。
暫く着なかったインナーに、アイボリーのカーディガンを羽織り、久しぶりにホワイトのミニスカート、ホワイトのパンプス
爽やか系大人の女のつもり。。
百本木のビル群の中をGoogleマップ頼りに歩くと、あっちゃん食堂を見つけた。
…こっ‼ここかっ⁉…
昭和レトロそのまま、周りの建物に呑まれてしまいそうな今にも倒れそうな木造平屋の食堂だった。
…でもこういう店って美味しいんだよね‼
下町ですらこんな店、大分減っているのに、百本木にもまだ残っているんだ…
♪♪♪駆からのLINEが入った。
KACE:着いた?先に席取っておいてくれる?:
:了解です!:広美
広美が店内に入るとオジさん連中中心に男性客で混んでいた。
「空いてる席にどうぞ~」
愛想無いオバチャン従業員の声掛けに壁際の二人席に座った。
「一人ならカウンターに座ってくんない?」オバチャン従業員は言ってきたが
「あ、じきもう一人来ます。」 と広美は答えた。
…空いてる席にって言ったじゃん、
ま、いいけど…
オバチャン従業員から「注文は、お連れさん来てからだね?」コップの水が二人分パンパンと置かれた。
客席から見えるカウンターの中の厨房は
大将らしきオジさんと男性スタッフが慌ただしく調理をしていて戦場のようだった。
「おぅっ‼久しぶりだなっ‼」
「 どうもっ‼」
大将の声が挙がると、例の青年が店内に現れた。
青年は最早この店の馴染みの様子。
「待たせたね?ゴメンね‼」
「いえ、大丈夫ですよ‼」
青年は、やはりキャップを目深に被りながらも、こないだとは違うメガネをかけて
アイボリーのジャケットに、白いパンツ、ローカル線の時よりは洒落たイデタチだった。
…やっぱサラリーマンには見えないんだけどな…
「来てくれてありがとう‼ハンバーグとオムライスコンビでいいね?あ‼いつものコンビ2つね‼」
青年は広美の意思を聴かずサッサと注文してしまった。
「これが俺のイチオシなんだ‼あ、女子には量多いかも。無理だったら俺が食べるから大丈夫‼」
広美は青年の勢いに呆気に取られていたが、
「あ、ハンバーグ、オムライス、私、大好きです。大丈夫ですよ‼」ニッコリ返した。
暫くすると、なかなかのボリューミーなハンバーグとオムライスコンビが出された。
「旨っ‼やっぱコレ、コレ‼」
青年は嬉しそうにほうばっていく。
広美も口にする。
「うわっ‼美味しいかも‼じゃない美味しいよ‼」
老舗の味、これぞ元祖洋食を堪能した。
久しぶりに男性が目の前で、食事をしている姿、この豪快に食べる男の顔というのが案外広美は好きだった。
忘れていたものが甦るようだった。
時間が無いというから広美も遅れないよう必死で、ほうばった。
本人は気づいていないけど、広美の食事を食べている顔も、実は幸せそうないい顔をしている。チラチラっと何気に青年は広美の顔を見ていた。
…あぁ、何かいいなぁ。。この女、取り繕わない自然体だ。。俺がずっと求めてきたもの…
「どう?こういう店」
「え?私、平気です!美味しいし全然いいよ!」
「ヨカッタ‼」…STEP1何なしクリアじゃん‼やっぱり?今だ気づいちゃいないし…
「また会ってくれる?こことは限らないけど」
「時間あえば。。構わないですけど」
…私ってば何、O.K.しちゃってんの?…
「今度はもっとじっくり話出来るようにするから‼」
急いで食べたせいか、暑くなったようで青年は目の前で一瞬だが初めてキャップとメガネを外し、ハンドタオルでほのかな顔の汗を拭いた。
…やっぱどう見てもイケメンだよ。。…
広美の胸は急にドキドキした。
…これでも、やっぱ俺の事は分からないんだ!楽しすぎる‼…
青年は嬉しくて愉快で堪らなかった。
青年は本当に忙しいようで、タイムリミット30分、歳上の広美が会計しょうとするのをサッと越して青年は、二人分の支払いをした。
店を出てから
「ゴメンなさい、支払いしてもらっちゃって、今度は私がご馳走しますね!ありがとう!」
広美は、頭を下げた。
「え?俺が誘ったんだからいいんだよ!
そういやコーディネート一緒じゃね?」
「あ。。本当だ?」
互いに、アイボリーの上半身にホワイトの下半身のイデタチ、まるでお揃い!
「俺たち、何かあるかもね⁉」
「えっ?」
青年は少し照れくさそうに呟いて
アッという間に去って行った。。
…何て忙しい人なんだろ。。そっか、IT企業忙しいもんね…
青年の事を勝手にIT企業と思い込んでる広美。
広美は折角来た百本木の街
このまま帰るのも。。とウィンドウショッピングをブラブラして、こ洒落れたティルームでお茶をした。
別れ際の青年の
…俺たち、何かあるかもね…
この呟きを思い出し広美のトキメキが溢れてきてしまった。
…何があるというの?フフッ。。…
久しぶりに浮かれる広美。
しかしスグにもう一人の広美が囁く。
…ダメっ‼私は、アラフォー半ばの。。
広美、男の事でもう痛い目には遭いたくないでしょ。。…必死に堪えようとした。
昼が重い食事だったから、夕食は、コンビニでサラダなど軽いフードと、缶ビールを2本購入して自宅に帰った。
シャワーを浴びて出てきたら、夜の9時になろうとしていた。
…明日も休みだし、まだ眠くないし何かテレビ見るか。。…
冷蔵庫から冷えた缶ビールを出してきてプシュッと開けて、テレビのチャンネルを選択した。
丁度、アイドルバラエティ番組
ハリケーン呼ぶZE‼-が始まるところだった。
…あぁ、久しぶりにコレ見るか…
テンションMAXのスタジオ
喚声挙がる中、アイドル.ハリケーンのメンバーが次々に登場してきた。
それぞれが挨拶代わりの一瞬ポーズを見せながら笑顔で登場だ‼
花井涼~キャ---ッ‼リョウ‼
瀬中快~キャ---ッ‼カイッ‼
明神丸孝輔~キャ--ッ‼コウチャ~ン‼
二葉純也~キャ--ッ‼ジュンク~ン‼
そ、し、て
羽沢駆~‼キャ---ッ‼カケルゥ‼
「今夜も、楽しくかけようゼェ~‼」
画面に、彼の顔がドアップで映し出された。
-グブッッ!!!!!!!!!!-
広美は口に含んでいたビールを思いきり画面に向かって吹き出した‼
広美だけ時間が止まった‼
…。。。。。。‼
う、嘘だよね。。。
ま、まさかね。。
に、似てる人だよね。。…
ローカル線で出逢った青年
LINEやり取りしてる青年
今日、食堂で一緒にハンバーグとオムライス食べた青年
画面のこの人って!!!!!!
広美は手にしていた缶ビールまで、ひっくり返し、固まったままテレビの画面を見つめていた。。
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