stage4:遠い人

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stage4:遠い人

アイドル駆からの、思いがけないプッシュはあったものの やはり広美はアイドルと直にお付き合いなんて恐れ多くて出来きません。LINEや電話なら。。と返事をした。 駆は、「まずは、LINEと電話でいいよ。ゆっくり、じっくりつき合って行こうね‼」と広美の気持ちを尊重してくれた。 LINEや電話のやり取りの頻度は、偏りはあるけど以前より増えていった。 やがて 「広美さん!」 「カケさん!」 と呼び合うようになった。 これはこれで二人の秘密の楽しいひとときだった。 ※※※ ある土曜日、広美は休日で部屋の掃除をしていたら、LINE電話がかかってきた。 誰かと思いきや、商社時代の同僚、 えり子からだった。いつ以来だろう。。 📱「広美ぃ、元気?どうしてる?」 📱「元気だよ!変わんないよ!えり子は?」 📱「変わんないよ!広美、今も不動産?」 📱「うん、不動産で働いてる、変わんない」 📱「で?彼氏とかは?」 そういや、えり子は、ファンクラブにも入ってるほどの熱狂的ハリケーンファンだ‼ 羽沢駆との接点なんて知られたら大変だ‼ 📱「彼氏?いるわけないじゃん‼何もナイ!ナイ!」広美、異常に焦る。 📱「ところでさ?今度の日曜日、空いてる?」 📱「あ、別に何も予定ないけど」 📱「ハリケーンのさ、ドームのライヴ、一人行けなくなっちゃったんだ。チケット1枚余ってるんだ。広美、来てくれない?陽子も由美も来るし久しぶりに皆で会おうよ‼」 …何でぇ?よりによってハリケーンのライヴって…広美は、アタフタしてしまう。 📱「ねぇ?広美、来てくれるよね?」 📱「あ。。あぁ。。まぁ。。行くよ」 シドロモドロで返事をした。 ハリケーンのドームでのライヴの日。 会場で広美は久しぶりに、えり子たち元同僚と再会した。 「広美!ラッキーと思ってよ‼私たちファンクラブに入っていたって、滅多にライヴのチケット取れないんだから‼」 「広美、ファンじゃなくても一緒に盛り上がってくれるよね?」 「分かってるよ‼今日は、有り難く楽しませてもらうよ‼」 …この人たちに私がメンバーの羽沢駆と、やり取りしてるなんて知られたら間違えなくコロされるね。。…広美は苦笑いした。 「そういや、広美、手ぶらだね‼応援グッズ位持ってなきゃ‼」 「だよね‼今日、カケルファンの鈴美香が来てないからカケルグッズ買ったらいいよね‼」 …ひぃ----っ‼カケルグッズってか… 仕方なく?羽沢駆アップのウチワとカケルイメージカラーのイエローのキンプリを購入してスタンドの席に着いた。 周りの客層は意外にも女子だけでなく男性もいるし、年齢層も何気に広い。 国民的アイドルというのが納得出来る。 押し潰されそうな大歓声の中、大音響のミュージックが流れだしハリケーンのメンバーがステージ上に飛び出した‼ 豆粒の様に小さくしか見えないが、華麗なステージ衣装を身につけ、煌びやかなスポットライトを浴びながらイキイキと歌って踊っている羽沢駆は、格好いいを超してやはりスターだ‼ …ステージ上のあの人と出逢っちゃって、僅かでも二人でランチして、連絡取り合っている私。やっぱこれって夢なのかな… 広美は、信じられないキモチのまま茫然とステージ上の駆だけを目で追っていた。。 ハリケーンのメンバーは、歌、躍り以外にも、ミニコントや、それぞれのMC、ミュージカルまで、あらゆるメニューで楽しませてくれた。国民的アイドルにのしあがって当然な見事なエンターテイメントだった。 ライヴも終盤。。 広美の心は現実を目のあたり。。切なくなっていた。。 …この席からステージって遠いね。。 羽沢駆。。やはり私には遠い人だね。 当然だけど、やはり違う世界の人だ。。 出逢って嬉しいけど。。無理だよ… 会場全て埋め尽くされている客席、 皆、ハリケーンを、羽沢駆を、愛していて、憧れていて。。 もし私が羽沢駆と個人やり取りしてますなんて知られたら、こんな大勢が私の敵に! コロされるだけじゃ済まない。。 身も、脂肪も、骨まで剥がされて跡形がなくなる位惨殺される。。 …怖っ‼もうダメだっ‼無理っ‼… ライヴ終了後、広美はそのまま帰りたくて仕方なかったが、当然断れず再会の仲間との夕食に付き合った。 「何かさ?広美、元気なくない?」 「えっ?ダイジョウブだよ、皆のパワーに圧倒されちゃったかな?」 その時広美のスマホにLINE着信が入った。 …ヒイッ‼このタイミングでKACEから… 無理無理っ、今この場で開けないよ---っ 「なぁに?広美、やっぱ彼氏から?」 「ホントはいるんじゃないのぉ?」 「違うっ!違うよ--------っ‼」 …広美、何か様子オカシイよね⁉… …絶対、オトコ出来てるよ?。。… ほろ酔いで遅くに自宅に帰った広美。 LINEを開けると KACE:遅くなるけど電話するね!寝てなかったら出てねwww: …今夜、全部話そう。。そして… 深夜、駆からのLINE電話が鳴った。 📱「もしもし。。」 📱「広美さん?遅いけど大丈夫?」 📱「。。うん、大丈夫。」 📱「何か。。酷く疲れてる?」 📱「ううん。。あのね、」 📱「何?どうしたの?」 📱「実は。。今日、ハリケーンのドームでのライヴ見せて貰ったんだ。」 📱「。。マジで?来てくれていたの?教えてくれればいいのに」 📱「友達の誘いで急に行ったからさ。 凄いヨカッタよ!楽しかった!さすがアイドル‼メチャ格好ヨカッタよ‼」 📱「うわ--っ‼見に来てくれていたのか、嬉しいな‼」 📱「でね。。ゴメンなさい。。」 📱「何?」 📱「どうしても、やっぱ私には羽沢駆さんは遠い人なんです。」 📱「ドームじゃステージ遠いよなぁ、広すぎだよね。。」 …その遠いじゃないってば‼… 📱「下町のただのOLの私と、カケさん。。 世界が違い過ぎます。」 📱「。。それで?」 📱「。。無理です。もうLINEも電話も。。しちゃダメです。。ゴメンなさい。。」 慌てた駆は、こんな事を言ってきた。 📱「ちょっと待って、じゃあ最後のお願いなんだけど。一度だけ俺の家に来て‼」 📱「えぇっ⁉」 📱「ちゃんと話しょう。で、どうしても広美さんが無理なら俺は、大人しく身を引くよ。」 📱「家にって。。」 📱「広美さんが、そんなに辛い思いするなら、逆にライヴ見て欲しくなかったかも。。」 📱「カケさん。。」 …本当は、自宅に招くのは俺のこだわりSTEP3最終段階なんだけど。。こうなったらこれしかない‼ ボロ民宿に行ってる場合じゃない‼ 奇跡の出逢い、俺は逃したくないから… …私が。。アイドル羽沢駆の家に行く? それって、この世界のオワリかもっ 明日、富士山がバクハツしちゃうかも… 富士山バクハツしたら、それどころじゃないで~す
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