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stage5:スターのお宅訪問
駆は、広美に自宅に来てもらいたい日時を、連絡してきた。
相手は忙しい人なのだから
芸能人、トップアイドルなのだからコチラが合わせてあげないと。。
平日だけど行くしかない。
最初で最後の奇跡。。
有給を急遽入れて行くことにした。
駆は、広美の自宅から自分のマンションまでの足、タクシーを手配してくれた。
…電車で行くつもりだったのに。。タクシーだなんて、やっぱ違う世界の人だよね…
駆の住まいは、例の如く大都会のど真ん中のタワーズマンション
-ゴールデンドリームタワーズ-
限られた有名人、富裕層だけが住んでいる超豪華タワーズマンション。
不動産屋だけど、ここまでのタワーズマンションなんて入り浸ったことない。。
下町にはここまで豪華なタワーズマンションはないもんね。。
男の部屋に行くんだから、もしかして、もしかするかも知れない。。赤面!キャッ!
ハズキルーペ
…私はもう子供じゃない。アラフォーだ‼何があっても奇跡の中の良い思い出にすればいいんだ…
覚悟した。
広美を乗せたタクシーは、駆の住むタワーズマンションに到着した。
電話くれたらセキュリティ解除するから、2001号室に直接来てと言われ、その通りにしてマンションの中に入れてもらった。
2001号室の前にたどり着くとドアが開けられた。
目の前に間違いなくアノ羽沢駆がいた。
「よく来てくれたね。どうぞ」
駆は嬉しそうに出迎えてくれた。
広美は初めてスターの部屋の中に入った。
間違いなくこの人、羽沢駆だけど
くたびれたドナルドダックプリントのTシャツに、
だらりグレーのスエットズボン姿だった。
-ホントに超プライベートの姿だ-
少しだけ広美は安心した。
エントランスともいえるほどの玄関を上り、通されると
パーティ-が大いに出来る仕様の巨大リビングに、憧れレベルのダイニングキッチンが、広美の視界に飛び込んできた。
…凄すぎるっ‼さすがスターのご自宅…
呆気に取られていた。
「広美さん、来てもらってスグに悪いんだけど、俺、腹減ってるんだよね。カレーライス作ってくれないかな?」
「えぇっ⁉カレーライス???」
「作れない?材料はたぶん適当にあると思うけど。」
…お腹空いてるっていうなら…
「まぁ。。作れますけど。。じゃあ、作ります。作らせてもらいます。。」
…何?初めて入ったスターのご自宅で、いきなりカレーライス作る私って…
それでも広美はテキパキと下ごしらえして、カレーライスを作り始めた。
…やっぱイイ‼イイ‼堪らない‼コレがいて欲しいんだよ‼…
駆は料理している広美の姿に釘付けになった。
「煮込めるまで一杯呑もうか、呑めるよね?」
駆は冷蔵庫から冷えた缶ビールを、2本取り出して来た。
「コレ、私がいつも呑んでるビール‼」
「俺がCM出ているヤツね。」
…そういや、キリーンの缶ビール.ライジングのCM、真剣には見たことなかったけど
『く----っ‼
キレとコクが全身にカケル---ッ‼』
この人が出ているっけ。。
また今更気がつくなんて‼
気づかず毎晩呑んでいたなんて‼
私、ヤバイ位うとすぎるっ‼…
「いくらでも呑んでいいからね‼有り難や、スボンサーから沢山届くんだ。」
…やっぱ世界が違うなぁ。。…
カレーが煮え、ご飯も炊け
広美は、完成を確認して二人分それぞれ器に盛りつけ
「お待たせで~す‼どうぞ‼」
駆の前に差し出した。
「旨そっ‼いただきます‼」
駆は豪快にカレーライスを、ほおばり始めた。
「旨いっ‼あっちゃん食堂より旨いかも‼」
「まさかっ‼何言ってるやら、いくらなんでも大袈裟過ぎるよ?」
「俺の大好きな味だ。。。」
呟いて広美のカレーライスを堪能した。
広美は少年みたいにカレーライスをほおばる駆の姿に愛おしさを感じた。。
食事が一段落した。
「広美さん。今日は、俺のすべてを見てもらうからね。」
…俺のすべてって。。。。。…
妙な胸の高まりを感じた。
まず、クローゼットはワンルームスペースに、ステージ衣装から普段着から何もかも綺麗にギッシリ並んでいた。
…まるでブティックだ。。…
広美は溜息をついた。
仕事用という部屋。。壁一面が鏡‼
ダンスのレッスンに必要だよね。
オーディオ、ギターに、スタンドマイク。。
そして隅っこには筋トレマシーンまで‼
アイドルゆえ陰ながらの努力も欠かせない。。完璧だね‼
「じゃあ、俺の超メインの部屋を見てもらうよ。覚悟して」
ここからが、こだわりSTEP3の超メイン
「あ。。。」
広美は駆の寝室を見て絶句‼
今まで見せてもらった各部屋は綺麗で、整っていたが
ゴミ屋敷ほどではないけど。。
チョット片付けたら~?
ドンと幅を効かすキングサイズのベット、
グチャっと寝起きのまま状態
当然テレビに、パソコン、オーディオあり、ゲーム機、単行本、漫画本が散乱している。
そのまんま普通の独り者の男の部屋だ。。
汚いのは、さておいて
…キングサイズのこの人のベット。。
私は抱きしめられたまま押し倒されて
あのベットの上で服を脱がされ。。
一帳羅の勝負下着に手が掛かり。。
し、しょっ‼勝負下着っ?
ゲッ‼私、今日、勝負下着っじゃないっ‼
あ”--っ‼今日は絶対にダメっダメだっ‼…
一人先走り妄想する広美
「でね、最後の部屋も見せたいから」
…STEP3に辿り着いても、これ見たら全員辞退しちゃったからね…
…最後の部屋、何?何?…
「ワオッ‼何コレ?アッハッハ‼」
最後の部屋を見た広美は爆笑した。
部屋一面ギッシリ、こけしが並んでる‼
「面白~い‼こんなに、こけしが‼凄~いっ‼」
「気味悪いよね。。?」
「イヤ、フィギィアとか集めてるオタクコレクターいくらでもいるし。でも、こけしってのは初めて見た‼」
「広美さん、大丈夫なんだ?」
「え?別に平気!だって個人の趣味だもの」
「ここから上がコレクターで集めたモノで、下は俺の自作品。あ、これプロフィールには一切非公開だからね。」
「アイドルのプロフィールに、趣味こけし」広美はまた、くくくっと笑う。
「俺の超シークレット、そんなに笑わないでよっ」
「ゴメン、ゴメン‼」
足元には小さなテーブルと木工品制作の道具箱が並んでいた。
「これって、もしかして日原の爺ちゃんの影響なの?」
「さすが‼広美さんなら分かってくれると思った‼」
「でもさ、何で、こけしなの?」
「プレイに使う為かな、へへへ」
駆はニヤついた。
…その辺のオッサン下ネタじゃん…
広美は冷ややかな目線で駆を見つめた。
「ウソ、ウソ‼冗談だよっ‼」
「ダメっ‼アイドルらしからぬ失言っ‼」
「そういえば広美さんって、こけしみたいな顔だよね。。アハハッ」
駆は、実に愉快そうに笑った。
「広美さん‼こけし顔!眼が、こけし!こけちゃんだ‼」
「何ソレっ?嬉しくな一----いっ」
広美怒
「寝室と、こけしルームは、絶対に他の人は入れないんだ。ハウスキーパーすらね。見せたことはあっても立ち入ったのは、今日、広美さんが初めてだから」
…嘘?こけしは、ともかく寝室も?
それはウソだよね。。こういう人たち、女に困るわけないもの。。…
アイドルの部屋に入って、一緒の時間過ごせて、夢のようなよき思い出だ。。。
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