ないものねだり

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瞼を確りと閉じて 薄っすらと光が舞う暗闇であなたの姿を探す 耳を確りと覆って さらさらと脈が流れる静寂であなたの声を探す こうしてずうっと丸まっていれば いつか小さく小さくなって 内側と外側がひっくり返って あなたのいる記憶へ這入り込むことができるんじゃないかと そんなことを思いながら私はひとり 部屋の中で膝を抱える けれど屹度そうなる前に あなたは消えてしまうのだろう この目が誰かを映す度に この耳が何かを聞く度に 私の頭は少しずつ あなたの居場所を減らしていく こうしてずうっと丸まっていれば いつか小さく小さくなって 内側も外側もなくなって あなたを世界に奪われなくなるんじゃないかと そんなことを思いながら私はひとり 白々しく明ける夜にほっとするのだ
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