Prologue~忘れられない

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 ほら、やっぱり今朝のはただの夢だった。私の勝手な妄想。  先輩には、美人で優しい彼女がいる。  確か中学のときからその彼女と仲が良くて。私の入り込む隙なんて、どこにもない……。  しかも、夢では私が先輩を振ったとか。そんなことが起こり得るわけがなかった。  たとえば、罰ゲームとして先輩が告白してきたのだとしても。私は即座にOKするはず。  ずっとずっと、出会ったときから大好きな先輩なのだから。 (先輩が彼女よりも、私のことを好きになってくれるなんて――そんな夢みたいなこと、現実に起こるわけないよね……)  門のそばで咲く桜が散っていく姿を、二人は仲が良さそうに眺めている。  そんな二人の後ろ姿を視界の隅に置き、私は密かな想いを心の奥底に閉じ込めた。
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